運用面に課題も

 技術面では確立に近づきつつあるおむつ再生も、運用面での課題は残る。介護施設から出るおむつは産業廃棄物として民間企業が収集しやすい一方、家庭から出るおむつは一般廃棄物として自治体が収集している。「家庭と施設から出るおむつの量を比較すると7:3と家庭ごみの方が多い」(トータルケア・システムの長氏)。民間企業としては、家庭ごみの方にアクセスした方が収集量の確保につながる。また、収集量は再生パルプの原価と密接に関連するため、できるだけ多くの自治体と連携できるのが望ましい。

 しかし、自治体で「一般廃棄物(ゴミ)」として収集する場合、原則としてその処理は当該自治体内で行うのがルール。ペットボトルのようにリサイクル品として分別収集の対象となり、かつ広域処理が可能となるためには、自治体側の協力や、場合によっては制度の変更が必要になる可能性もある。「収集・処理コストをどこがどのように負担するかの議論も必要」(環境省)だ。

将来的には紙おむつが紙おむつに
将来的には紙おむつが紙おむつに
トータルケア・システムは、すでに再生パルプを使用したおむつの試作品を完成させている
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 現在、トータルケア・システムは介護施設や、一部の自治体との連携の下、おむつを収集している。同社によれば、連携自治体が同社に処理を依頼する際の費用は自治体が自前で処理する場合と同等で、再生したパルプの価格も、紙おむつメーカーが購入するパルプと同価格帯だという。

 ペットボトルの再活用は、メーカーや再生事業者、自治体、国が一体となって取り組みを続けた末に実現した。おむつのリサイクルも、実現に向け、関係事業者や自治体・国が相互の連携を深められるかどうかが最大のハードルとなる。「今は、ようやく入り口に立った段階。普及に向けての本格的な議論はこれから」(長氏)だ。

 おむつのリサイクル技術は「世界に通用する」(スーパー・フェイズの木村幸弘社長)と各社が胸を張る技術だ。少子高齢化先進国の日本で生まれた技術が本当の意味で「使える」ことを証明できるかどうかは、今後の運用施策にかかってきそうだ。

(日経ビジネス2017年3月13日号より転載)

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