水処理で再利用可能に

 トータルケア・システム(福岡市博多区)は、新品パルプ(バージンパルプ)同様のパルプを作り出すことに成功している企業だ。使用済みおむつの「洗浄」と「分離」を繰り返し、パルプを製造している。回収したおむつをパルパーと呼ばれる分離装置に入れ、中でジュースミキサーのようにスクリューで攪拌し、おむつの水分とともに粉砕する。1度に処理できる量は1.5トンで、1日あたり20トン程度の処理が可能だ。

 その後、塩化カルシウムを投入。尿より濃い液体を投入することで、浸透圧を利用して尿を外に出す。さらに、テープなどの部分に使われるプラスチック、パルプ、吸収体部分のポリマー素材、屎尿関連を分離。最終的に、パルプのみをこす。その後、水切り、脱水、次亜塩素液体による洗浄殺菌を行い、再生パルプへと仕上げる。

 「分離作業でどこまで混じりけのないパルプを作れるかが、バージンパルプに近づくかどうかの分岐点」(トータルケア・システムの長武志代表取締役)。分離したパルプの方に、ポリマーなどが混ざると耐久性や使い勝手の面から「用途が限られてしまう」(長氏)。現在は、独自に開発した成型乾燥機を使ってシート状にし、建材メーカーで外壁や内壁の素材として利用している。

 分離技術に次いで課題となるのが、衛生面への対応だ。再生おむつは、使う側の心理がハードルになる可能性があり、「衛生面における品質が非常に重要になってくる」(長氏)。トータルケア・システムの再生パルプはすでに、衛生面では問題のない基準をクリアしているというが、「最終的に判断するのは、使うメーカー側や業界団体」(長氏)。リサイクル市場が誕生するには、品質基準の作成など、業界としての取り組みが必要になるだろう。

 衛生面における品質をより高めたとうたい、リサイクル事業に参入しようとしているのが紙おむつ大手のユニ・チャームだ。2015年に独自の紙おむつ資源化技術を開発。16年12月には、鹿児島県志布志市と協定を結び、使用済み紙おむつからパルプを再生する実証試験を開始した。同社は、技術の詳細を明らかにしていないが、衛生面に配慮して最終的な処理加工で「オゾン」を利用するようだ。オゾンは、一般的な大気中にも存在し、殺菌・脱臭などの大気の自浄作用を担っている気体。殺菌効果が強い一方で、分子構造上分解して酸素を生み出すため、毒性のある2次物質を作らないなどの特徴がある。ユニ・チャームでは、これをパルプの殺菌過程に利用し、より衛生面に配慮した上質なパルプを作れるとしている。

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