CASを使えば加工食品だけでなく、生鮮野菜や鮮魚、鮮肉といった天然素材を、鮮度や食感を損なわずに長期保存できる。例えば、日本各地で取れた海の幸や山の幸を、首都圏だけでなく海外にも、鮮度を保ったまま輸送できる。今では食品メーカーに加えて、百貨店やスーパーなどが導入。フランスの有名レストランが採用するなど海外からの関心も高い。

 医療分野への応用も期待される。アビーは慶応義塾大学の岡野栄之教授や日本ユニシスと連携し、人間のiPS細胞から作った幹細胞を凍結保存する技術をこのほど確立。再生医療に必要な移植用細胞の長期保存に向け、大きく前進した。大和田社長は「日本が農業や医療で競争力を高められるようにCASで貢献したい」と意気込む。

 冷凍技術の活用という点で、より身近なのが「フリーズドライ」だ。生鮮食品や加工食品をマイナス30度で凍らせた上で真空状態にし、中の水分自体を抜いて乾燥させる仕組み。鮮度に加えて栄養分も抜けにくく、軽量化できるという利点がある。

 アサヒグループホールディングス傘下でフリーズドライ食品最大手の天野実業は、定番の味噌汁からパスタ、カレー、総菜、鍋物に至るまで常時200品目以上の商品をそろえる。フリーズドライは、個食化が進む中で1食分の食事を手軽に取れる上、震災時などの非常食として、需要が年々高まっている。劣化の原因となる酸素との接触を減らし、現在1年程度の賞味期限を5~10年程度に延ばす研究を進める。

 冷凍食品は味わいが日々向上し、市場も拡大している。この技術をソフトとハードの両面で進化させれば、医療など幅広い分野で日本が世界をけん引できる可能性がある。日本の競争力を高める役割を冷凍技術が担う日はそう遠くないのかもしれない。