新しい人材の採用や従業員のパフォーマンス管理など、人事の業務は手間がかかる。ITを駆使してヒューマンリソース(人材)業務を効率化する「HRテック」の需要が高まっている。最近ではAI(人工知能)を活用して、適材適所の人材配置を支援するサービスも登場した。

(日経ビジネス2018年2月19日号より転載)

 HRテック分野で開発競争が活発なのが、現場で働く従業員のパフォーマンス管理だ。仕事に対する意欲や適性など、これまで定性的にしか把握できなかった要素を見える化。従業員が能力を発揮しやすい適材適所の人材配置を支援する。仕事へのモチベーションが下がりつつある従業員をいち早く見つけて上司や人事担当者が相談に乗るなど、離職を防ぐ効果も期待できる。

離職者の異変をとらえる

●ネオキャリアの人事クラウドサービス「jinjer」が備えるAI関連機能

笑顔判定
 従業員の顔写真の笑顔度を点数化

(写真提供=ネオキャリア)
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社員のモチベーション向上を支援

●米ワークデイやカオナビが提供する適性の見える化支援機能

Workdayの「オポチュニティグラフ」
 目標とする上司の人事データを可視化

(写真提供=米ワークデイ)
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カオナビの「SPI3タイプマップ」
「創造性重視」など適性を4タイプに分類

(写真提供=カオナビ)
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 人材サービスのネオキャリア(東京・新宿)が提供するクラウドサービス「jinjer(ジンジャー)」は、従業員の仕事への意欲低下をAI(人工知能)で察知する機能を備える。その一つが「エンゲージメントアラート」だ。

 エンゲージメントとは従業員が自発的に仕事にかかわったり、企業に貢献したりしようとする意欲を指す。従業員が日々入力する勤怠データをAIで分析し、7段階の「エンゲージメント指数」として示す。エンゲージメント指数は、離職してしまった従業員の勤怠データを基に導き出した離職パターンを使って算出する。

 分析するデータは出退勤時間や残業時間、残業の頻度、休暇の取得状況などが対象となる。毎日の勤怠情報以外に特別なデータの入力は不要だ。エンゲージメント指数が下がると、働く意欲が失われつつあると管理画面に示す。

 ジンジャーは「笑顔判定」と呼ぶ機能も備える。従業員がジンジャーのスマートフォンアプリで出勤を記録し、顔写真を撮影。AIによる画像認識技術を使って笑顔の度合いを分析し、100点満点で評価する。「点数が急に下がると、従業員の意欲が下がっていると気付ける」(経営企画部マネージャーの小口敦士氏)

次の職種を示し意欲高める

 「Aさんの職務として有望なのは顧客サービス担当」「身に付けるべきスキルはコミュニケーションとスケジュール管理」──AIを使って従業員の適職やキャリアパスを示唆してくれるHRテックもある。米ワークデイの人事クラウドサービス「Workday(ワークデイ)」だ。ソニーや日産自動車をはじめ、大手企業を中心に1800社が利用する。

 同サービスが備える「オポチュニティグラフ」はマネジャーなどの役職に就いている上司と部下のそれぞれについて、ワークデイで管理する職務履歴などの人事データを分析。結果を比較することで、従業員一人ひとりに成功しやすい役職を提案する。

 「次に進むべき道を従業員に示すことで、自律的に成長する意欲を高められる」。ワークデイ日本法人の宇田川博文HCM Japanプロダクトリーダーはこう話す。今後は分析結果を基に強化すべきスキルや習得に役立つ研修プログラムを薦める機能を加えていく。