東日本大震災以降、強い風が吹く沖合での風力発電に期待が集まっている。巨大な風車をいかに海面に浮かせるかに企業は知恵を絞る。造船や建設の技術は発電コストの低減に生きそうだ。

都市部を離れて海岸線をドライブしていると白い巨大風車をよく目にするだろう。経済産業省の見通しによると、総発電量に占める風力発電の比率は現状の0.5%から2030年には1.7%に伸びるという。風力は夜間でも稼働可能という強みを持ち、エネルギーの変換効率も太陽光の4倍程度と言われている。しかも北海道や東北、九州では年間を通して強い風も吹く。
だが、電力会社に接続する風力発電設備(出力10キロワット以上)は既に2000基以上存在し、騒音や景観などの問題をクリアして建てられる立地は減ってきた。そうした中、風力の比率を今後引き上げていく上で鍵を握りそうなのが、洋上という選択肢だ。
水深が50m程度までの海域ならば、海底に基盤工事を施し、風車のタワー(支柱)を固定する「着床式」(着底式)の設備を建てられる。洋上風力で20年以上前から世界をリードしている欧州でも着床式が用いられてきた。海底油田の開発実績が豊富な欧州勢にとって、この方式での工事は手慣れたものだ。
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