追い風のなかで異業種からの参入も目立つ。17年末時点で中国にあるNEV関連メーカーは314社。このうちNEV補助金を受ける乗用車メーカーは55社だった。多くの新興メーカーは、新たな価値を示した製品が提供できれば「中国のテスラに化ける可能性がある」と、夢みている。

中国・主要新興メーカーのNEV生産計画
ブランド名 主な出資先 出資額 主力製品 生産能力
威馬汽車 百度等 200億元 中高級SUV 20万台
NEXT EV テンセントなど 146億元 高級SUV 20万台
小鵬汽車 アリババ、鴻海など 23億元 中高級SUV 20万台
電珈汽車 ファンド 未公開 低価格EV 15万台
奇点汽車 地方政府・ファンドなど 46億元 中高級SUV 20万台
BYTON汽車 FMC、ファンド 16億元 高級SUV 30万台
愛馳 ファンド 12億元 スポーツカー 30万台
車和家汽車 ファンド 27億元 高級SUV 30万台

IT大手の投資先3社に大きな成長可能性

 BATと呼ばれる中国IT大手3社(百度、アリババ、テンセント)も新興メーカーに出資している。18年3月末時点で、テンセントが出資のNEXT EV(蔚来汽車)がJAC汽車に、アリババが出資の小鵬汽車が鄭州海馬汽車にそれぞれ生産を委託してNEVを製造。小鵬汽車は18年3月に広州市から車両ナンバーの交付も受けた。

 百度が出資する威馬汽車は既存NEVメーカーの買収により生産ライセンスを獲得した。資金調達力や自社工場建設の進捗状況を勘案すれば、少なくとも現時点では、大手IT企業が出資する3社は成長の可能性という点で頭一つ抜け出している。今年は新興メーカーがNEVを集中投入するが、多くの「中国のテスラ」候補には厳しい試練が待ち受けているといえそうだ。

 中長期的には中国の民族系NEVメーカーは、世界自動車業界にも大きな影響を与えるであろう。一方で補助金支給をめぐる虚偽取引や製品品質の問題が多発。事態を重くみた政府は18年に入って補助金の大幅な減額に踏み切った。業界淘汰の波は確実に押し寄せる。中国 の「EV革命」がいかに進行するのか。どの新興メーカーが「中国のテスラ」に変身できるか、引き続き注目したい。

湯進(たん・じん)氏
みずほ銀行国際営業部主任研究員・博士(経済学)

2008年入行時より国際営業部に所属。自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、中国地場自動車メーカーや当局とのネットワークを活用した日系自動車関連企業の中国ビジネス支援を実施しながら営業推進業務に従事。また継続的に中国自動車業界に関する情報のメディア発信も行っている。

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  • 「中国新エネ車産業の規制緩和と日系企業の対応」『Mizuho Globalnews』 Vol.93、みずほ銀行2017. 10
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  • 日経産業新聞 「中国に懸けるVW の焦燥」(上・下)」 (2017 年7 月19 日~20 日)