日立製作所の川村隆・相談役

内田:すぐ成果を出せないと、クビが飛んじゃうかもしれないと。

川村:すぐ成果を求められますから。複合企業のトップは、外から来た人が務めるのはつらいでしょう。

内田:なるほど。

川村:要するに長い歴史があって、複合企業なんていう業態をまだやっているものだから、それぞれの事業が込み入っているんですよね。

内田:今の話を聞いて思ったのは、GEは複合企業ですよね。だから生え抜きのジャック・ウェルチが改革できたのかな、と。一方で、IBMはIT関連の単一業種と言えますから、外部から来たルイス・ガースナーが改革できた、という解釈ができるかもしれません。

川村:そのように当てはまるかもしれないですね。ただGEは確かに複合企業ですけど、だんだん絞ってきていますよね。今は金融事業も外したでしょう。

内田:GEは、ああいうポートフォリオの入れ替えをよくやりますよね。

川村:GEはそうやって、3つか4つぐらいにだんだん絞ってきている。なのに我々はまだ大きく分けて9個とか10個とか、事業があるわけですよ。これは絞らないといかん。今のままで大きくなってもろくなことないよ。

強くなるためにリストラするという考え

内田:ただ、勘違いしてほしくないのは、絞ることに意味があるんじゃなくて、強い事業をつくることが重要であるという部分ですよね。そのためには、強みを持つところに経営資源を集中させなきゃいけないので、余分な事業とか、見込みがないところは他の企業と組んだり、売ったりした方が、他社もハッピーだという、そういう考え方ですよね。

川村:そうです。ただ、我々は情報部門を持っているので非常に大きな望みがあるんですよ。これからビッグデータの時代になって、それで社会に大きな情報のプラットフォームができて、その上にアプリケーションがいっぱい乗るというような世界になっていくのは間違いないですから。日立のこの事業は大きな強みになる。この事業はGEも今、大慌てで強化しようとしていて、ソフトウエアの技術者を大量に採用しているほどです。

内田:日本企業がポートフォリオ組み換えになかなか積極的になれないというのは、「リストラ」という言葉が日本だと非常にネガティブに捉えられているからと、私は捉えています。要するに、ポートフォリオの組み替えというのは、だめになったからリストラするのじゃなくて、逆に強くなるためにリストラをする。あるいは強くなるためのポートフォリオの組み替えという考え方を、もっと日本企業は前面に押し出していかないとだめなんじゃないかなという気がするんです。

川村:おっしゃる通りです。日立もいろいろとポートフォリオの組み換えをしていますが、部分最適より全体最適という考え方で進めています。部分的にはこの事業は小さくなっちゃうんだけど、全体として成長するためにやむなし、という論理でやっているわけです。ただ実際は、そこのところで妥協しちゃう経営者が多いですね、日本は。