内田:要は事業ポートフォリオの組み替えを、いかに思い切ってやれるかだと思います。

川村:ただ、それはものすごく痛みを伴うので難しい。特に日本人は痛みに弱いでしょう。要するにどこかの工場を畳まなければならない場合は、従業員の配置転換などやらなければならないことがたくさんあります。

 海外ですと、会社と個人の雇用契約ですから、退任のときはこうしますよ、罷免のときはこうしますよ、というのが決まっていて、その通りにやればいいんだけど。日本だとそうはいかない。

内田:日本だと、社員の雇用を守って終身雇用を維持しなければならないから、例えば営業利益率が2%前後くらいしかなくて利益率低くても、「利益は出てるし。赤字じゃないんだから、まだこの事業をやめる必要はないんじゃないか」みたいな話になりがち。

川村:今もそうですね。

内田:その辺が日本企業らしいといえばらしいんだけど。

日本企業が利益率を上げるためには

川村:だけど、やっぱり日本企業の利益率が海外勢に比べて悪いのは明らかで、しかもその状態が長く続いちゃったことが一番悪いところなんですね。

 高度成長期のときは、黙っていても利益率が上がってきたからいいんだけど、今は放っておいたら利益率が上がらない時代になっちゃったわけ。だから、ある種の痛みを伴う努力や改革をしなきゃいけないんですね。

 さっき指摘した不動産投資のトラウマは結構、多くの日本企業の意識の底流にまだ残っていますよ。あのとき盛大に投資をしてしまって、その後に、やたらと苦労しちゃった。それで悪化した財務諸表を改善するのに、もうそれだけで20年くらいかかっちゃったと、こういう思いがある。

 そして、新しいことに積極的にどんと乗り出さない。不動産投資を止めるだけじゃなくて、自社の本業に近い部分の投資まで新しいことには及び腰になって止めちゃった。これが非常に良くなかった。

内田:日本企業におけるチャレンジングな部分だなと私が思うのは、日本企業って業界ごとにだいたいやることが似通っていて。何かほかの企業と違うことをやることに逡巡があったり、あるいは何か不安があったりするので、どうしても業界ごとの行動様式が横並びになっちゃう。

川村:その通りです。