日本企業は1990年代から改革に乗り出すべきだった

内田:何で日本企業はそのころ、改革ができなかったんでしょうね。

川村:みんな横並びで痛みのあることはあんまりやりたくなかったんでしょうね。それから80年代の印象が非常に強烈なものだから、もう少し待っていれば、またいい時代が来ると思っていたんです、みんなね。

内田:それはすごくよく分かります。

川村:80年代までの国内需要は、非常に強烈でしたから。日本企業はその強烈な体験を忘れられない一方で、、80年代にトラウマを作ってしまった。不動産投資にみんな手を出して、本業から離れた余計なことをいっぱいやったよね。それでやけどして、トラウマになっていて、新たな投資をするとか、新たなことを始めるということに関して非常に消極的になってしまった。

 そういう時期だからこそ、トヨタのように海外へ戦略的に布石を打っていくということが本当に大事なことだったんだけど、我々も含め多くの日本企業が、それを怠ってしまったんですよね。それが日本企業の一番悪いところ。それにやっと2009年になって我々は気付いたものだから、いろいろ改革を始めたということです。バブル崩壊から20年近くもたって、ようやくかって感じだよね。

 その改革というのはお手本がありましてね、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ時代の改革や、米IBMのルイス・ガースナー時代の改革です。業種は違いますけど、やっている改革の中身は一緒なんですよ。

 やっぱり歳を取ってきた企業の中で、老化した事業をきちんと畳んでいくと。畳み方もいろいろなやり方があって、完全に撤退するものもあれば、M&Aでほかの会社の事業をくっつけて競争力を付けるとか、残存者利得を狙ってしばらく頑張るとかね。

 様々な形はあるんだけど、古い事業はやめて、そこに投資していたヒトとモノとカネを、伸びる事業に移していくということを基本的にやっている。その顕著な事例がGEやIBMでした。ほかにも、世界中にそういう改革をしっかりしている企業はあるんだろうけど、我々が一番知っているのがその2社だったから、日立の改革のお手本にしましたよ。何か悪いことがあったから改革するというのではなくて、そういう改革を普段から継続的にやっておくべきなんですよね。

早稲田大学ビジネススクールの内田教授