ルーヴェン:なるほど。あえて率直にお答えしますが、世界的にみてもスポーツカーのセグメントは縮小傾向にあります。スマートが担う市場はフォーツー、カブリオレ、フォーフォーの3つのプロダクトで網羅できていると考えています。ですからいま具体的にスマートから何か新しい派生モデルを、という話はないのですが、もし検討するならSUVでしょうね。

 ロードスターは個人的にも乗ったことがあって楽しいと思ういます。このEVのパッケージもフィットすると思いますが…ビジネスとしての投資は難しいですね(苦笑)。

では先程おっしゃっていたファントゥドライブと、今後さらに進化するであろう自動運転というのはどのようにしてバランスをとっていくのでしょうか

ルーヴェン:その回答は半年待ってください(笑)。9月にフランクフルトショーがあります。そこでわれわれのチームがコンセプトを発表し、2030年のビジョンを語る予定です。それを見てもらった上で、将来をどう考えるのか、というその質問にお答えしましょう。インタビューの席を用意しておくので、ぜひ見に来てください。

考え方の柔軟さに驚いた

 この取材を通じて、さまざまな場面で彼らのフレキシブルさに驚かされた。一方でEVやFCV先進国の日本でなぜこれらが普及しないのかと考えたとき、もちろん従来のガソリンスタンドにとって代わるインフラの構築が最大課題だが、特に日本では原発の問題もあり、Well to Tank(燃料の製造)か、Tank to Wheel(走行段階)か、もしくは Well to Wheelか、どの過程でエネルギー消費量および CO2 排出量、そしてコストを算出するのかという点で議論が固着しがちだ。

 しかし、それではこの世界的な流れにはついていけない。いまや電動化は“是か非か、やるかやらないかではなく、世界の状況はそれを過ぎて、必達目標になっている。いま考えるべきはエンジンとのバランスを見ながら“どの程度までを目標とするか”、その最適解を探っていくことが必要だろうと感じた。

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