ダイムラーは昨年、メルセデス・ベンツとして初のEV専用の新ブランド「EQ」の立ち上げを発表。リチウムイオンバッテリーの開発・生産を行うドイツ企業のアキュモーティブを子会社化して、スマートEDのリチウムイオンバッテリーをはじめ、バッテリーマネジメントの内製化を進めている。

ダイムラーAGのディーター・ツェッチェ会長と、昨年のパリモーターショーでお披露目された電動SUVのコンセプトカー「Generation EQ」。満充電時の航続可能距離は約500kmで、2020年までの発売を予定している

 新型スマートEDの発売当日に実施された国際試乗会に参加してきた。会場はフランス南部の、レンガを用いた建築物が多く“バラ色の街”と呼ばれるトゥールーズの市街地。プレゼンテーションの際にスマートEDプロダクトマネジャーのレンプ・ルーヴェン氏はこの地を選んだ理由をこう話していた。

 「天候が素晴らしいし町並みも美しい。道幅も狭く、スマートにとても合っている。そして、いま欧州でもスマートシティ構想が展開されているが、このトゥールーズの町は2013年よりプロジェクトに参加しており、スマートのセールスも好調に推移している。したがってEDのローンチにはうってつけだった」

 スマートシティ構想は、いま欧米などで積極的に推し進められている低炭素社会の実現に向けてエネルギー消費を抑制し、インフラやコミュニケーション手段など都市構造の効率化を目指す取り組みだ。

 石畳が多いトゥールーズの道を走っていると、至るところで歩行者と車を分離する支柱が目に入る。市街地の中心部へは鋼鉄製の支柱が行く手を阻み、登録車両の通行時のみその支柱が自動で地中に沈下する仕組みになっている。古い町並みと最新の仕組みが同居する姿はとても興味深い。

“バラ色の街”と呼ばれるトゥールーズの市街地

軽快さが印象に残るフォーツーED

 まずフォーツーEDに乗る。動き出しが軽くて速い。0-100km/h加速は11.5秒。ちなみにガソリンエンジンのターボモデルが90hp/135Nmで、11.3秒だから動力性能としてはほぼイーブンといっていいだろう。エネルギー回生はレーダーセンサーを使用して、前走車との車間距離や坂の勾配などを測定し自動的に調整される。したがって、BMW i3や日産ノートeパワーのような、回生を行うことで大きな減速Gが発生する“ワンペダル”走行にはならない。これは「できるだけ内燃機関(スマートの場合はガソリンエンジン、以下、「エンジン」で表記)モデルと変わらないドライブフィールを」というエンジニアのこだわりによるものだ。EV化によって約100kg重量が増加したため足回りを強化しているというが、それが功を奏してかフラットな乗り心地で、エンジンモデルよりも快適に感じられた。

 次に乗ったフォーフォーEDは4枚ドアゆえ実用性が高く、いい意味でフツーのクルマとして使いやすい。ただED同士で乗り比べてみると、フォーツーの方が軽いため加速感もよく、運転する楽しさでみればフォーツーのバランスがいい。

 スマートEDを試乗しながら、2015年のフランクフルトショーで、ダイムラーAGのディーター・ツェッチェ会長が、「我々は自動車メーカーからネットワークモビリティーにおけるサービスプロバイダーへと変容する」と発言したことを思い出した。

内装はエンジンモデルに準じたもの。 左上のサブメーターには充電量と回生状況を表示する。スマートフォン対応のアプリも用意され、遠隔地での充電状況の確認や予約、またエアコンの温度を出発前に調整することなども可能だ