渡邊:これは当社の街づくりの考え方と全く同じですね。多摩田園都市など東急沿線でも、過去にご夫婦で一戸建てを買われた後、お子さんが独立して今は高齢のご夫婦で住まれている、またはお一人になっているケースも多々あります。当社としても住宅メニューで介護系の施設も造っていますが、マンションにしても一戸建てにしても、住み替え需要への対応だけでなく、元の物件をどうしていくかも大きな課題なんですね。長期的に見ると、山下社長が言われたような新陳代謝が起きない街は持続性がないですよね。

山下:若い人を呼び込むという点では、我々にはIoT(モノのインターネット)に関するデバイスを活用できるノウハウもあります。建物は築40年だけど、中に入ると最新のデバイスが組み込まれていて快適に暮らしていける。そうした「アップデート」できる家というのは、若い人にはとても魅力的に映ると思いますね。「餅は餅屋」ですから、お互いの知見や意見をぶつけ合うことで面白いものが生まれていくのではないでしょうか。

渋谷を世界の見本に

2020年には東京五輪を迎え、渋谷の街もさらに大きく変わっていくと思います。五輪後も含めて、お二人はどのように未来の渋谷を考えておられますか。

渡邊:五輪はあくまで通過点で、その後にどれぐらい持続的に国際都市東京を打ち出していけるかが重要だと考えています。インバウンド(訪日外国人)が2000万人から3000万人、4000万人と増えていったときに、よりボーダレスというか、日本の人口が減少する中でも国として魅力を保ち続けるには、街づくりはその根幹になると思います。

 今のヒカリエもそうですが、こうした大きなプロジェクトは地権者さんとの共同事業でもあります。地元の方々のご理解があり、プロジェクトに賛同いただいて事業を持続させていくということですね。また、行政側との連携、いわゆる「公民連携」も不可欠ですよね。もちろん企業ですので短期で利益を上げなければならない部分もあるのですが、長い時間軸での街づくりの物語をうまく組みわせていくことがとても大切ですよね。

山下:渋谷が世界から注目される街だというお話があったと思いますが、そうした意味では五輪後に渋谷がどうなっていくかという点での注目度や責任は非常に大きいと思います。人種や年齢層、文化が様々に入り混じって、ダイバーシティーがどのように進化していくか。あまり整理整頓されすぎるのも面白みがないですが(笑)、色々なものが混ざりながらも安心して暮らしていける街というのは、世界的な見本の一つになるのかなという気がしています。渋谷住民としても、とても楽しみですよね。