東急の渡邊専務は「街の価値を高めることが最重要の経営テーマ」と強調(撮影は的野弘路)
東急の渡邊専務は「街の価値を高めることが最重要の経営テーマ」と強調(撮影は的野弘路)

渋谷で特に目立つのが、元気のいいベンチャー企業が生まれて、育っていくことが多いということですよね。例えばサイバーエージェントは今も本社が渋谷で代表的な企業ですが、巣立っていったところも含め、多くの有力企業が出てきています。

渡邊:2000年より少し前に「渋谷ビットバレー」として騒がれましたが、渋谷にはベンチャーが生まれやすい風土があると思います。そしてそれは今も脈々とつながっていると感じますね。スタートアップ企業って、ピカピカのビルからじゃなくて、ちょっと中心から離れたところで、家賃も安いそれこそアパートとかから生まれて成長していくものだと思うんです。

山下:ベンチャーって、なかなか賃料が高いところには入れないじゃないですか。だけど利便性という意味では渋谷の周辺エリアで生まれて、出世してだんだん中心地に近づいていく。例えばヒカリエに入っている大手ゲーム会社などもそうですよね。私たちベンチャーの界隈では「出世ビル」という呼び方があって、あそこのビルには以前A社やB社が入っていて、ここは出世できるというジンクスのようなものがあるんです(笑)。みんな出世するとどんどんビルを移っていくのですが、渋谷がそれを形作っているというのはすごい文化だと思います。

渡邊:何か、光り輝くパワースポットというか、運やツキに恵まれたエリアなのかなとは思いますよね。

築古ビルに新しい生命を

東急電鉄とリノべるは昨春に資本業務提携し、中古マンションなどのリノベーション事業で協業を進めています。どのようなきっかけや狙いで手を組むことになったのでしょうか。

渡邊:きっかけは「東急アクセラレートプログラム」という企画です。これは渋谷にあるスタートアップ企業の方々に、社会実験というか、新しいビジネスを生み出すにあたって東急グループの資産をどんどん使ってくださいという考え方に基づくもので、コンペを実施しています。幸い多くの企業に応募いただいているのですが、その中でリノベるさんのモデルが特に光っていたということで提携に至りました。

 実は東急自体もリノベーション住宅事業は結構前から手がけていました。環境対応も含めて、コンセプトは非常に良かったのですが、いかんせん我々にはビジネスに乗せられるだけの分量を手配できる情報ネットワークや足腰がなかったんですね。そうした反省に立った時に、リノべるさんの事業の軸がすごくしっかりしていて、ウィンウィンの関係が築けるのではないかな、と考えたことが大きかったですね。

リノベるの山下社長は「リノベーションで新陳代謝の仕掛け作りを進めたい」と語る(撮影は的野弘路)
リノベるの山下社長は「リノベーションで新陳代謝の仕掛け作りを進めたい」と語る(撮影は的野弘路)