世の中に新しいものをという思想を基に、今まさに渋谷ではビックプロジェクトが目白押しですね。今年は春に共同住宅やシェアオフィスなどを備えた「SHIBUYA CAST.」(渋谷キャスト)がオープンしますし、来年秋には南街区でオフィスやホテル、商業施設を持つ大型物件が控えています。東京五輪前には駅街区に230メートルの物件が建つことになる。

渋谷は大型複合ビルの開発プロジェクトが目白押し(東京急行電鉄(株)提供)
渋谷は大型複合ビルの開発プロジェクトが目白押し(東京急行電鉄(株)提供)
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 施設が整っていく中で、どういうコンテンツや機能が花開いていくかが非常に重要ですね。街のバリューを高めていき、同時に街の価値を世界に向けて発見していく。そうした流れをどんどん作っていきたいですね。

酔っ払っても迷わない街

山下さんも、オフィスを構える身として独自の視点をお持ちだと思いますが。

山下:私はもともと大阪で生まれ育ったのですが、向こうで起業して東京に出てきたのが8年ほど前。東京で初めて住んだのが渋谷区の桜丘町なんです。築50年のマンションを買って、そこをリノベーションして住んでいました。周りには豪邸が建ち並んでいて、住んでいる方々もすごかったですが、僕が買ったのは古い物件だったので、手が出る値段ではあったんですね。中心部に歩いて行ける距離感も含めて、とても印象的でした。

 渋谷って色々な多様性というか、見る人によって表情が変わる街だという印象です。ど真ん中のあたりは世界から注目される大型ビルが立ち並ぶ一方、少し足を伸ばすとストリート文化が息づいている場所がたくさんある。ビジネスマンや若者ら、歩いている人々のファッションもバラバラですよね。渋谷のスクランブル交差点の雰囲気というのが、まさに渋谷を象徴していると思うんです。

渡邊:山下社長が言われたように、渋谷の路地やストリートの味わいはとても大事なんですね。建物をただ作るだけではなくて、街が色々な顔を持っていて、人々が回遊する中でどのようなストーリーを紡ぎ出していけるか。単一な雰囲気ではなくて、立体的な膨らみがあるというか、それは東京を代表できるぐらいのユニークさだと考えています。

 もう一つ面白いのは、これだけ発展しているエリアで坂が多いのも珍しいんですよ。しかも駅周辺に向かって谷底に四方八方から下っていく構造になっています。だから、どれだけ酔っ払っていても、坂を下っていけば駅に着けるから、道に迷うことがない(笑)。夜に若い女性が一人で歩くことができる治安の良さも含めて、こんな街が世界のどこにありますか?と言いたいですよね。

山下:現在当社も東急さんのビルに入居していますが、本当に毎日のように街が変わっていく。ビルがぐんぐん伸びて、歩道橋が積み上げられて、それが24時間動き続けています。それを見ているのは本当に面白いですし、街づくりのダイナミックさを感じますよね。

渡邊:色々とご不便をおかけすることも多いので、申し訳ないのですが(笑)。東急の沿線って、だいたい450万人ぐらいの方々が住んでおられますが、鉄道を公共的な交通インフラとして担う一方で、都市の開発事業をどのように手がけるか、どのように持続性を持たせるかを考えることは我々の宿命です。開発して売って終わりという話ではないんですよね。時には30年ぐらいかけて再開発する、息の長い事業です。

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