多田:実はそれはまだわかりません。まだ量産まで1年以上の時間が残っているので、本当にすべてがチャラになるのかは、これからの何カ月間にも関わるものですが、僕自身にとってもすごく興味深い期間になります。

コストが一緒だったら、BMWのやり方のほうがいい、ということになるんでしょうか?

多田:そう単純なことではなくて、そうなるがための会社の仕組みがぜんぜん違うんです。スバルのときはどちらかといえばトヨタ流のやり方で進めましたけど、今回はBMW流がいいのか、トヨタ流がいいのかはまだわかりません。ただ、そういうことを知るいい機会なのは間違いないですね。できるだけ一歩引いて、最初は無駄に感じたことも一度は聞いてやってみようという姿勢でやっています。

BMWも同じ姿勢なんですか?

多田:最初は、「とにかくどんなクルマが欲しいのかそれだけ言え」と。おまえたちに聞くことなんか何もない。そういう時期もありました。でも日本からエンジニアをミュンヘンにつれていって打合せを重ねていくと、意外と君たちもいろいろ考えているのねって(笑)、伝わるわけです。いまは本当にとってもいい関係ができています。

レース参戦を前提にするとどうなるか

多田さんは「ピュアスポーツカーが作りたい」とおっしゃっていますが、そもそもスープラって、ピュアスポーツカーという位置づけのクルマなのでしょうか?

多田:たしかにこれまでは、スープラは必ずしもピュアスポーツを謳ってきたわけじゃないですよね。だけどだんだんそっちの方向にきて、80はまさにそうでした。いまのGR(ガズーレーシングカンパニー)のミッションであったり、レース由来のいいクルマを作ろうという方向性を考えれば、このベクトルで行くのが正しいと思っています。だから、あえて、そういったメッセージを鮮明にするために、今回のジュネーブショーではレースカーから発表しました。

なるほど、それでレースカーを先行公開したというわけですか。もう何か参戦カテゴリーを決めてのレース仕様なのでしょうか

多田:詳しく言えばLMGTE(「ル・マン」グランド・ツーリング耐久仕様)のレギュレーションに100%ミートさせていて、単なるデコレーションではなくTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)のウインドウトンネルで空力解析などもしっかりやって、かなり高い完成度でレースに出ることを想定して作っています。

「LMGTE」(「ル・マン」グランド・ツーリング耐久仕様)レースカテゴリー用のマシン
「LMGTE」(「ル・マン」グランド・ツーリング耐久仕様)レースカテゴリー用のマシン

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