そうした状況の中、政府は17年6月に「自動車投資管理規定」を発表し、ガソリン車メーカー新設の禁止、既存メーカーの能増制限(過去2年間の稼働率やNEV生産割合は条件)、低稼働率メーカーの再編などの方針を示し、過剰生産問題を解消しようとしている。

 直近の大手国有自動車3社(一汽、長安、東風)経営トップの入れ替え、研究開発や海外進出を含む戦略提携、国有企業から有限会社への所有制度改革から、中央政府が主導する業界再編のシグナルであると解釈する向きもあるが、「弱肉強食」時代を迎える地場自動車メーカーにとっては、現状、統合による規模の利益を追求するよりも、むしろR&D能力とブランド力の向上による独自性や差別化を追求すべきであろう。

中国政府のNEVシフトで世界強国入りの野望

 中国は「自動車大国」の地位を固めているものの、部品技術の遅れ、研究開発力の未発達などの課題を抱えているため、日米欧に追い付くには依然遠い道のりがある。

 17年4月に「自動車産業中長期発展計画」が発表され、「25年に世界自動車強国入り」との目標が掲げられている。これは、25年に先進国向けの自動車輸出を開始し、現在日米欧の企業が占めている世界自動車メーカーTop10に複数の中国企業がランクインすることを目標としている。

 その目標を実現するために、電気自動車を中心とするNEV及びスマートカー分野に重点を置き、官民挙げて研究開発の強化に取り組んでいる。

 中国政府はNEV補助金の支給、車両購入税の免除(2020年まで)、充電インフラ整備等を通じてNEV需要の喚起を図りながら、メーカーの「NEVシフト」を促そうとしている。

 17年9月に発表された「燃費規制及びNEV規制」では、完成車メーカーが16年度・17年度の燃費規制目標値の超過分をNEV生産で埋める必要があり、19年から乗用車生産・輸入台数の10%相当分を「NEVクレジット」として計算し(20年に12%)、生産義務未達成のメーカーが罰則を回避するためには他社の余剰クレジットを購入するしかないと規定した。

 また、外資系メーカーのNEVシフトを推進するため、中国政府は外資規制緩和もバランスよく組み込んでいる。17年6月に改訂した「外資系企業投資ガイドブック」では、EV事業に限り3社目の合弁企業設立が可能となり、18年6月までには、自由貿易区(全国11カ所)に限り50%までだった外資出資規制が緩和されることも決定した。

 16年末に策定した「省エネ・新エネ車技術ロードマップ」(中国汽車工程協会)が示した30年にNEV販売台数が新車販売の約4割に当たる1500万台といった強気の目標からも、政府がステップを踏んで次世代自動車市場を育成する姿勢が伺える。こうした潮流下、中国のNEV(乗用車)販売台数は14年の7万台から17年の58万台へと急速に伸びている(世界シェア47%)。

中国NEV販売 世界市場を牽引
中国NEV販売 世界市場を牽引
中国汽車工業協会、IEAの資料より作成
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