2017年の中国自動車市場は、小型車減税策により、新車販売が前年比3%増の2888万台となった。3000万台の大台にまであと一歩まで迫ってきた。小型車減税策は17年で終了し、新エネルギー車(NEV)補助金も前年比大きく削減された。18年4月に導入が予定されている中国の新エネルギー車規制(NEV規制)から、次世代自動車市場の早期育成による「脱ガソリン車」を図ろうとする中国政府の決意が反映されている。本稿では、激動する中国自動車市場の実態を浮き彫りにしたい。

巨大化する中国新車市場の変調
9年連続で新車販売世界首位を維持した中国自動車市場は、日本・米国・ドイツ3カ国分に相当する市場規模までに拡大している。一方で、成長トレンドの転換や消費嗜好の多様化など、水面下で変調が見受けられる。
これまでのモータリゼーションは中国の沿海地域都市(1級・2級といわれる大都市)を中心に進行してきたが、近年は、中部・西部地域都市(3級・4級といわれる中小都市)に及ぶ傾向にある。
また、中国では、「クルマ」は個人のステータスを反映するものという消費理念の高まりが高級車市場の好調を下支えする一方、「二人子家族」や「三世代家族」(夫婦と子供1人+夫の両親)の増加、環境規制の強化などを背景に、「実用性」や「コストパフォーマンス」という価値観を持つ消費者も増加している。
特に所得の向上やモータリゼーションの進展に伴い、エントリーカー需要のみならず、買い替えと二台目車需要も無視できない牽引力となっており、中国におけるクルマ消費の高度化を後押している。
中国自動車市場は過去十数年間に渡る高度成長期を終え、安定成長期に突入した。販売台数の年間平均伸び率をみると、01年~07年の23%(始動期)、08年~14年の16%(高度成長期)に対し、15年~21 年(安定成長期)には約5%に減速すると予測される。
足元の状況では、16年に13.7%増だった中国新車販売台数の伸び率は17年の3.0%へと大きく減速し、11年(2.4%)に次ぐ低水準にとどまった。セダン市場の低迷や小型車減税効果の弱まりが主な減速要因として挙げられる。
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