高齢者介護の現場では、排泄に伴う尿臭や便臭がしばしば問題になる。別の香りでごまかさず、臭いの原因を絶つ技術が開発されている。カーペットに付着した臭いを洗い落とせる家電も、今春登場する予定だ。
カーペットにこぼしたコーヒーやしょうゆ。水で濡らした布で慌てて吸い取ったが、乾くとしみになり、臭いが残ってしまった──。そんな経験は、過去のものになるかもしれない。
「『スイトル』を使えば、ソファやカーペットについた汚れや臭いも、簡単に落とせるようになる」。こう話すのは、東京都台東区にある家電ベンチャー、シリウスの亀井隆平社長だ。
スイトルは、家庭用掃除機の先に装着して使うクリーナーヘッドだ。本体の大きさはスイカ大で、重さは2kg弱。上の写真のように、カーペットなどに水を噴きかけて汚れを浮かし、水と一緒に汚れを吸い取る。簡単に水洗いできないようなものでも、“洗濯できる”というわけだ。直径30cmぐらいの汚れなら、1~2分で元通りになる。
仕組みはこうだ。まずは、スイトルの内蔵タンクに水を入れて、掃除機のホース部分に装着する。掃除機の電源を入れて吸引が始まると、スイトル本体のターボファンが回転。タンクの水を吸い上げて、ノズルの先からカーペット上の汚れに向って噴射する。汚れに加えて臭いも取りたい場合は、「次亜塩素酸水」を使うと効果的だ。
コーヒーなどの汚れは水と混じると、付着していた繊維から浮遊してくる。それを掃除機がゴミを吸引する要領で、汚水ごとスイトル内部に取り込む。その後、ターボファンで汚水と空気を分離して、汚水のみが別のタンクにたまる。掃除機には水が入らない。
少し待てばカーペットが乾くので、掃除は完了だ。汚水のタンクは取り外して水洗いできるため、清潔に保てる。スイトルは掃除機が吸引するエネルギーだけで駆動する。
核となる技術は、発明家である川本技術研究所(広島県福山市)の川本栄一社長が考案した。製品化は、三洋電機でマーケティングなどを手掛けたシリウスの亀井社長が、家電部品メーカーのユウキ産業(大阪市城東区)やクリエーター集団のイクシー(東京都千代田区)、三井倉庫ロジスティクス(東京都港区)などと連携して実現した。
今年4月から、ジャパネットたかたや大手家電量販店を通じて販売する予定。価格は2万円前後の見通しだ。
開発や製造の資金を調達するため、昨年末までウェブサイトを通じてクラウドファンディングを実施。約500人から1000万円以上が集まった。出資した人には、スイトルを割引価格で購入できたり、発売と同時に入手できたりする特典を付けたという。
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