ワービー・パーカーはオフライン店舗で選択・購入することが当たり前だったメガネ業界で、ネットとリアルの融合による、新しい購買体験を実現した。「購入前に使用する」というチャネル設計をいち早く取り入れたのである。

ワービー・パーカーの店内

 これと同じような試みは広がりつつある。たとえばアマゾンはファッション・カテゴリーで「返品0円」を導入し、「自宅で、自由にフィッティング」を打ち出している。試着後に最大30日間返品が可能で、返品・返送料も0円というシステムだ。顧客は気になったものをまとめて注文しておいて、気に入らなかったものをすべて返品する。これはもはや返品システムというよりも、購入前に試着するための仕組みである。

 ワービー・パーカーのチャネル設計は、まさに「購入前に使用する」というこれからのトレンドをいち早く捉えたものと言える。

次回へ続く)

筆者/奥谷 孝司
オイシックスドット大地COCO(チーフ・オムニチャネル・オフィサー)

1997年良品計画入社。2005年衣料雑貨のカテゴリーマネージャーとして「足なり直角靴下」を開発して定番ヒット商品に育てる。2010年WEB事業部長に就き、「MUJI passport」をプロデュース。2015年10月にオイシックス(現オイシックスドット大地)に入社し、現職に。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。2017年4月から一橋大学大学院商学研究科博士後期課程在籍中。2017年10月Engagement Commerce Lab.設立。日本マーケティング学会理事。


筆者/岩井 琢磨
大広プロジェクト・マネージャー

1993年大広入社。インストア・プランナー、クリエイティブ・ディレクター、ブランド・コンサルタントなどを経て現職。流通業・製造業などの企業を対象とした、部署横断型の事業変革プロジェクト、企業ブランド再生および企業コミュニケーション設計プロジェクトを数多く手がけている。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。著書に『物語戦略』(共著、日経BP社)、『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』(共著、日本経済新聞出版社)がある。日本マーケティング学会会員。

世界最先端のマーケティング
奥谷 孝司・岩井 琢磨(共著)
定価:1800円+税

●目次 【PART1】アマゾンの脅威/ 【PART2】チャネルシフトの最前線/ 【PART3】店舗至上主義の限界/ 【PART4】購買体験をデザインする/ 【PART5】無印良品のつながり/ 【PART6】つながりがマーケティングを変える

●取り上げている事例 Amazon Go/Amazon Books/Amazon Dash/Amazon Echo/Whole Foods/instacart/LE TOTE/BONOBOS/THE MELT/Warby Parker/ZOZOSUIT/DIFFERENCE/IKEA Place/ニトリ手ぶらdeショッピング/MUJI passport/いきなり! ステーキ/Oisix/全国タクシー