さらに、アプリをわざわざダウンロードする顧客は、無印良品が好きな人である。MUJIファンであり、おそらくは購入単価も高い顧客とのつながりを持つことは、売り上げを安定的に上げることにつながると考えた。事実、MUJI passportユーザーの客単価はMUJI passportを使わない顧客より高い。

顧客と店の双方とも理解が深まる

 そして、顧客が日本中のどこにいても、アプリを通してオフラインの店舗情報、店頭の在庫情報が確認できるようにすることで、顧客の選択段階にスムーズに入ることができる仕組みも構築した。そして、アプリを開いた履歴や購入履歴からは、顧客の無印良品の利用頻度がわかる。最近来店していない顧客には、セール情報などをプッシュ通知で知らせることもできる。定期的に顧客とのコミュニケーションを行うのにアプリは最適だと考えたのだ。

MUJI passportのアプリを使えば、オフラインの店舗情報や、店頭の在庫情報もすぐに確認できる

 また最低限の顧客情報として性別や年齢を入れてもらい、SNSとのID連携や無印良品のクレジットカードとのID連携機能を入れ込むことで「誰が何を買ったのか」という購入データの把握ができるようになり、売れ筋商品が理解できるようにした。この機能がもたらした効果は、「無印良品の顧客=30代の女性」というステレオタイプな認識をもう少し細かく分析し、売れ筋商品ごとに確認できるということだ。

 MUJI passport開発当初は、企業によるアプリ開発はまだ一般的ではなかったが、いまや無印良品のレジを通過する顧客の30%近くがMUJI Passportを利用している。またアジアを中心に、日本以外でも展開が進んでいる。小売業でアプリを活用したロイヤルティプログラム導入の先駆的な事例であり、無印良品における顧客理解を進める役割を果たしている。

 『世界最先端のマーケティング』の中では、MUJI passportの開発過程を振り返り、「5つの教訓」「3つの効果」として整理してある。