エアコンや冷蔵庫、ウオーターサーバー、加湿器などの家電はもとより、携帯機器、住宅設備や自動車など様々な場所に取り付けられる。低電力で作動するため、例えば清潔な飲み水にも事欠くような、世界の貧困地域の劣悪な生活環境の改善にも役立つだろう。用途が一気に広がるのだ。深紫外LEDの関連市場規模は今後3~4年間で1000億円を突破すると業界関係者はみる。

 現時点では弱点もある。水銀ランプより発光効率が悪く、量産技術も発展途上ということだ。だが、これらを補うべく技術開発が進んでいる。

 成長市場の獲得を目指し、発光効率の向上や量産技術の確立による低コスト化を目指す技術開発競争が世界で過熱している。その先頭を走っているとされるのが、日機装、旭化成、トクヤマの日本の3社だ。

 深紫外LEDは、半導体技術によって成り立つ製品。競争のポイントは、高性能な半導体を、いかに歩留まり高く量産できるかという点にある。

日本勢による競争が激化している
●各社の深紫外LEDの技術開発動向

ノーベル賞が源流に

 2014年に青色LEDの開発でノーベル物理学賞を受賞した、赤崎勇氏と天野浩氏。工場用ポンプ大手の日機装は、2006年からこの2人の指導を受けて実用化研究を進めてきた。2015年3月に深紫外LEDの量産出荷に10年越しでこぎつけた。

 半導体の世界的権威の知恵を借りてもなお、量産技術の確立にここまで時間がかかったのには理由がある。青色や赤色といった、既に普及フェーズにある各種LEDと深紫外LEDは、使用する材料が異なることだ。

 一般的にLEDは、サファイアの基板上に何らかの発光材料を薄膜状に積み上げていくことで作製する。

 青色LEDの場合、サファイア基板の上に積み上げるのは窒化インジウムガリウムの結晶層だ。いかにきれいに結晶層を作れるかが量産と性能の安定化において重要なポイントとなるが、窒化インジウムガリウムはサファイアの上では結晶化しにくいという問題を抱えていた。

 そこで、サファイアの上にまず窒化ガリウムの「緩衝層」を設け、その上に窒化インジウムガリウムの層を積み上げる方法を編み出した。赤崎氏と天野氏のノーベル賞受賞は、この緩衝層の技術開発などによる。

 日機装は深紫外LEDでも、サファイア基板の上に緩衝層を設ける量産技術の開発に取り組んだ。だが、深紫外LEDの発光材料は、青色LEDと異なり窒化アルミニウムガリウム。また、窒化ガリウムは紫外線を吸収する性質を持つため、緩衝層の素材を窒化アルミニウムに変更する必要があった。

 「温度管理の工夫などで、信頼性の高い製品を量産できるようにした」(研究開発を担当する日機装技研の石黒永孝UV-LED事業部長)。日機装は来春から更に、50ミリワットという従来品の1.7倍の発光出力を達成した製品の量産を始める。今後、様々な機器に組み込みやすい形でLEDを提供していく計画で、第1弾として水を使う機器に取り付ける「水殺菌モジュール」を開発した。毎分2~10リットルの流水を一度モジュールに通せば、中に含まれる大腸菌などを99.9%殺菌できるという。