東電PG側はディスアグリゲーション技術で得た家電の稼働情報を、プライバシーに配慮した上で様々な企業に提供する事業モデルを模索する。

 その応用範囲は広い。例えば宅配事業者であれば、家電を使っているかどうかで在宅状況が分かるため、配送の効率化が望めるだろう。炊飯器を頻繁に使っている家庭向けに、調味料メーカーが炊き込みご飯のもとなどを個別に販売したり、深夜に洗濯機をよく使う家庭向けに部屋干し用の洗剤を売り込んだりするなど「細やかなマーケティングが可能だ」(エンコアードの本橋惠一・マーケティング本部長)。古くてエネルギー効率の悪い家電を使っている住宅向けに、家電メーカーが最新の省エネ家電を提案したり、製品のメンテナンスに活用したりする道もある。

 もっとも、センサーが取得する情報は膨大で、そのままでは扱いにくい。宅配業者は大まかに在宅かどうか分かればいいし、調味料メーカーは炊飯器の稼働状況がつかめればいい。

 そこでサーバーにデータを蓄積し、各企業が求める最適な形で情報提供できるよう加工する役割を担うのが日立製作所だ。「当社のIoT(モノのインターネット)のノウハウがあれば、例えばマンションの住人が一斉にエアコンをつけたタイミングを把握したり、(東電PG管内の)全データと比較するとどうなのか分析したりするなど、様々に家電情報を利用できる」とエネルギー情報システム本部の福岡昇平・本部長は自信を見せる。

コンセントでデータ通信

 今回の実証実験では、もう一つ新しい技術が取り入れられている。パナソニックが開発を進めるHD-PLC(高速電力線通信)だ。家中に張り巡らされた電力線を使ってデータ通信を可能にする技術で、コンセントがあればインターネットに接続できるのが売りだ。

東電PGが手掛ける実証実験にパナソニックも参画し、電力線を使った情報通信技術を組み込んだ(写真=的野 弘路)
東電PGが手掛ける実証実験にパナソニックも参画し、電力線を使った情報通信技術を組み込んだ(写真=的野 弘路)

 分電盤に取り付けられたセンサーがネット上のサーバーに情報送信する際、一部でこの技術が使われ、電力線を伝って波形データが運ばれている。

 今回の実験に必ずしもPLCが必要なわけではない。というのもセンサーにはWi-Fi機能があるため、直接、無線LANのルーターにデータを送れるからだ。ただ分電盤と無線LANルーターとの距離が遠かったり、障害物があったりすると電波がうまく届かない恐れもある。そこで今回の実験では、センサーのデータをコンセントに差し込まれた無線機能を持つPLCアダプターに送り、電力線を通して別の場所にあるルーターに送信している。

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