リナックスのオープンソースプラットフォームははクラウド事業者によるパブリッククラウド構築も加速させた。レッドハットは初期段階においてアマゾンのクラウド構築をサポートした。その後、アマゾンなどのクラウド事業者がサービスにリナックスを加えたことでリナックスベースでアプリを作るデベロッパーは増加している。それもイノベーションがリナックス上で起きるようになった要因だ。

 そして今、企業はパブリッククラウドだけでなく、既存の自社インフラとパブリッククラウドを統合し始めている。過去5~6年でレッドハットが取った戦略は、買収か自社開発かどうかは別にして、ハイブリッドクラウド対応のインフラ構築とその管理に関連したものだ。

「どこに賭けるべきか」を常に考えている

その方向性は変わらない?

コーミア(以下、コーミア):変わらない。現在、アプリケーション開発はコンテナが中心になっている。一つの巨大なアプリケーションではなく、数百、数千のマイクロサービスに移っている。そこで必要になるのはコンテナ全体のセキュリティであり、コンテナ全体を統合、管理するよりよい方法だ。レッドハットは既にソリューションを提供しているが、もっと洗練させていく必要がある。アプリの展開や管理を自動化させていく必要もある。

レッドハットは様々なオープンソースコミュニティに技術者を送り込んでいる。どこのコミュニティにどれだけ人員を割くのか、ということはどうやって決めている?

「正直言って、レッドハットは誰にでも合う職場ではない」
「正直言って、レッドハットは誰にでも合う職場ではない」

コーミア(以下、コーミア):私とスタッフは常に「どこに賭けるべきか」ということを考えている。例えば、グーグルが開発してオープンソース化したKubernetes(クーバネテス)の場合は初期の段階で多くのエンジニアを送り込んだ。クラウド事業者のラックスペースとNASA(アメリカ航空宇宙局)が始めたOpenStackの場合は逆で、最初のうちは2~3人のエンジニアを送り込み様子をしばらく見た。本格的に投資する前に、もう少し見極めたかったんだ。だが、ある時点でOpenStackというプロジェクトに価値があるということが分かり、かなりの人員を振り向けた。

 社員が自発的に参加しているケースもある。レッドハットはネットワーク関連の製品を持っていないが、その分野のコミュニティに参加しているエンジニアはいる。経営として投資するつもりは今のところないが、いつの日かその分野に投資することもあるかもしれない。いずれにせよ、われわれはエンジニアが間違ったことはしないと信じて任せている。そこはレッドハットのカルチャーだ。

誰にでも合う職場ではない、生き残れない人もいる

カルチャーはかなり変わっている。

コーミア(以下、コーミア):「最高のアイデアが勝つ」。これがレッドハットのカルチャーの根幹だ。そのために、スマートな人間を雇っている。肩書きを得ればアイデアが出るわけでも賢くなるわけもないからね。「エンジニアの意見に耳を傾ける」というのもレッドハットのカルチャーを象徴していると思う。われわれはエンジニアの声に常に耳を傾ける。技術がどういう方向に移っていくと考えているのか、そういう声を聞きたいと思っている。

 同時に、アイデアを出した後に主張し続ける覚悟を持つ必要がある。正直言って、レッドハットは誰にでも合う職場ではない。生き残れない人もいる。たとえアイデアを出しても、聞くべき価値のないものであればスルーされる。厳しいと思う人もいるだろう。だが、それが現実だ。(了)