アプリケーションはベアメタル(注*4)や仮想マシンの中で動いている。プライベートクラウドやパブリッククラウド、コンテナなど様々な環境で動いている。こういった異なる運用環境を結びつけたいというニーズは強い。そのためのインフラ、異なる環境下でも可能なアプリ開発、そのための管理ツールなどは今後、一新されていく。この動きはまだ始まったばかりだ。

注*4:ホストOSを必要としない仮想化の一手法。

 その中でレッドハットは興味深い立ち位置にいる。売上高は単体のリナックスが今も多くを占めている。この分野も二桁成長を続けているが、ハイブリッドクラウド関連の製品はさらに鋭角に伸びている。しかも、ハイブリッドクラウド関連はリナックスベースで作られている。ビジネスという観点で見ると、とてもいい位置にいる。単体のリナックスや仮想化を超えたものはレッドハットにとってすべて新市場だ。

クラウドやオンプレミスが混在した「ハイブリッドクラウド」

ハイブリッドクラウドについてもう少し説明してほしい。

コーミア(以下、コーミア):ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドやオンプレミス、プライベートクラウドなどが混在している環境のことだ。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のようなパブリッククラウド事業者はすべてのアプリケーションがクラウド上に移行していくと喧伝していた。だが、実際にそんなことはなく、オンプレミスやプライベートクラウド、仮想マシンなど従来の環境で動いているアプリケーションは数多い。

 レッドハットの顧客もハイブリッドクラウドを望んでいる。例えば、AWSが提供しているリナックスでアプリケーションを作った場合、そのアプリケーションは社内のプライベートクラウドで動かすことはできないし、グーグルやマイクロソフトなど別のクラウドサービス上で動かすこともできない。それに対して、レッドハットのRHELはそれぞれのクラウド事業者が提供しており、どんな環境上でも動かせる。

コーミアさんは会社が成長を始める前にレッドハットに加わった。レッドハットはどのように市場の変化に対応してきたのだろうか。

コーミア(以下、コーミア):17年前にレッドハットに入った時は2~3社の顧客しかいなかった。ほとんどは金融機関だ。彼らはリナックスコミュニティからリナックスをダウンロードするか、レッドハットが当時、出していたコンシューマー向けリナックス製品を使うかしてアプリケーションを動かしていた。だが、セキュリティは万全ではく、バグがあってもバグを直す人間が誰もいなかった。リナックスが更新されれば、もう一度、一から作り直す必要もあった。

 そういった問題を解消するために、レッドハットは2002年に企業向けリナックス、RHELを出した。それが革命の始まりだ。結果的にRHELの成長とともに商用ベースのリナックス市場が拡大した。今ではアプリケーションの開発者はプロプライエタリ(注*5)なソフトウェアではなく、リナックスのプラットフォームで作り始めている。

注*5:所有者のいる、独占的な。ここでは「オープンソース」の反意語。

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