ジオ・サーチの地中探査専用車両。高速道路を時速60km以上で走りながらでも調査が可能
ジオ・サーチの地中探査専用車両。高速道路を時速60km以上で走りながらでも調査が可能

 2000年代には時速40km程度だった探査車の走行速度も、今では高速道路を走れる時速60km以上に向上させた。時間を短縮した分だけ、調査コストの削減につながる。「東日本大震災後に緊急で広域を調べた経験が生きている。現在は震災前と比べ、調査に要する時間は10分の1以下に、費用は半分以下になった」(小池取締役)。

空洞は地表に近づくにつれ大きくなる
●地中探査車の概念図
空洞は地表に近づくにつれ大きくなる<br />●地中探査車の概念図
川崎地質のけん引車型の地中探査車両。調査に従事する運転手は、けん引免許が必要になる
川崎地質のけん引車型の地中探査車両。調査に従事する運転手は、けん引免許が必要になる

 川崎地質の特徴は、調べられる「深さ」だ。2016年5月には通常の探査深度1.5mの倍に当たる、3m以上の探査も可能となる技術を発表した。

 地中深くを調べるには、電磁波の電圧を上げる必要がある。だが、電圧を上げるとデータの解像度が落ちる。そこで、搭載した8つのレーダーを、地表近くを調べる7台とより深い地点を探査する1台に分け、双方の放射タイミングをずらす方式を採用。解像度と深さの両立を実現した。

 技師長の宮本高行取締役は「電磁波が通りやすい地盤なら5mまで調査可能だ」と手応えを口にする。水道管は深さ3mぐらいにあることが多い。より深い地点を調べられると、陥没の危険を早期に察知できる。

 地中を探査する技術は、空洞の発見以外の目的でも用いられている。

 応用地質は、空洞探査や地盤調査といった本業以外に、レーダー探査技術を用いた人命救助装置も開発している。人間の肺も“空洞”だ。倒壊した建物や土砂に埋まった生存者を探す際、意識がなくても肺などが動き続けていれば10~12m先から検知できるという。

 同社は複数の技術を調査目的によって使い分けている。そのうちの1つが重力探査だ。密度の大きい場所なら重力は大きくなり、逆に密度が小さければ重力が小さくなる。この原理を生かす。複数地点で重力加速度を測定し、空洞や埋設物の存在を把握する。地震の後には、防波堤でも大きな陥没が起きやすい。その原因となる空洞を発見するには重力探査が適している。同社の斎藤秀樹技師長は「地中深くに埋まった壺も見つけられるので、国内外で遺跡発掘に協力してきた」と語る。

 電磁波や重力探査を通じて地中の“異物”を感知する技術は、日本勢に一日の長がある。各社にはアジア諸国からの引き合いが増えているという。

100年耐久の水道管

搭載カメラは水中での撮影を前提に作られており、水の外で撮影するとピンボケ状態になる
搭載カメラは水中での撮影を前提に作られており、水の外で撮影するとピンボケ状態になる

 地上からではなく水道管の内側にロボットを投入し、破損の有無を検査する技術も開発が進んでいる。

 三井造船は2016年6月、水道管調査用水中ロボットの最新機種を東京水道サービスに納入した。同種のロボットとしては4世代目。開発では体積と重さのバランスが難しかったという。

適度な浮力がないと水中移動が困難に
●三井造船の水中ロボット概念図
適度な浮力がないと水中移動が困難に<br />●三井造船の水中ロボット概念図
流れがない水道管内をスラスタ(プロペラ)で移動。水中ケーブルの長さ300m分を一度に調べる

 ロボットはマンホールの補修弁を通じて挿入・回収できるように直径6cmに設計した。だが、細い水道管でも動けるように小型化を進めると、体積が小さくなって十分な浮力を得られない。ロボットは前方と側面にライトとカメラを搭載している。その重さに見合った体積を備えなければ、水底に沈んだり逆に水面に浮かび上がったりと調査に支障が出る。

●水道管内調査用 水中ロボットの外観
●水道管内調査用 水中ロボットの外観

 NECは車両型の水道管調査ロボットを開発し、2013〜14年に国交省による下水道関連技術の実証実験に参加した。だが、水中ロボにせよ車両型ロボにせよ、現状では1日当たりの調査距離に限度がある。

 水道管大手のクボタは、劣化しない水道管の開発を目指している。さびに着目して、寿命の長い水道管の開発に取り組んできた。

 2010年発売の「GENEX」は亜鉛合金を塗装しており、100年持つという耐久性が売りだ。2016年7月には改良を加えた「NECS」を投入。製品寿命こそ80年と劣るものの、価格はGENEXより30%抑えた。20%以上軽量化した分、設置工事も効率化できる。

 4月に起きた熊本地震では、地震の影響によって生じたとみられる空洞が初めて被災認定を受け、公的支援の対象となった。今後は震災後に被害の拡大を抑制するため、地中探査や水道管調査の需要が高まりそうだ。