今回はこのセンサーを使い、精神疾患などの要因となるストレス性疲労の蓄積を測定できるかどうかを検証した。ラットの脳内アンモニア濃度がストレスにより増加するなど、体内アンモニア濃度とストレスの間には相関があることが指摘されている。

 実験に参加したのは20~40代の男女12人。単純な計算を20分間繰り返す前と後で、精神的ストレスを反映するとされる唾液中のクロモグラニンA濃度と、呼気中アンモニア濃度、そして主観による疲労度の相関性を調べた。

 被験者には計算が得意かどうかを事前に申告してもらったところ、計算を「苦手」とする群では、疲労度の増大に伴う呼気中アンモニア濃度の低下が測定された。また、クロモグラニンA濃度と呼気中アンモニア濃度にも相関が見られた。これらのデータから呼気中アンモニア濃度がストレス性疲労のマーカーとなる可能性を示唆しているという。

 実際、勤務時間中の呼気中アンモニア濃度の変化を測ったところ、時間の経過とともに濃度が低下し、勤務が終了すると増加する現象が観察された。勤務時間中は、ストレス性疲労の蓄積に伴って呼気中アンモニア濃度が低下し、終業後はストレスから解放されたことで上昇に転じたと考えられる。

 富士通研究所は今後、今回のような携帯型呼気センサーをスマートデバイスやウエアラブル端末に搭載し、疾病を手軽にスクリーニングできるようにすることを目指す。

飲酒なりすましも防止

<span class="fontBold">日立製作所が試作した呼気アルコール検知器。スマートフォンに取り付けた小型端末でエタノール、アセトアルデヒド、水素の濃度を計測する。呼気の組成で酒気帯び状態かどうかを判定できる</span>
日立製作所が試作した呼気アルコール検知器。スマートフォンに取り付けた小型端末でエタノール、アセトアルデヒド、水素の濃度を計測する。呼気の組成で酒気帯び状態かどうかを判定できる

 呼気センサーは既に飲酒運転の検査などに利用されている。警察が検問などの際、飲酒が疑われる運転手に風船を膨らませ、専用の機器で呼気中のアルコール濃度を測定している。呼気1リットル当たり、エタノール量が0.15mg以上あると酒気帯びと判断される(体重70kgの人であれば350mlの缶ビール1本で基準に達する)。

 日立製作所はスマートフォンに取り付ける携帯型の呼気センサーを開発、今年11月に一般公開した。スマホのカメラを用いた顔認証機能と組み合わせて運転手以外による “なりすまし認証”の防止にも役立てられる。

 日立が開発したアルコール検知器は、呼気センサーを搭載する小型端末と、専用アプリをインストールしたスマホからなる。小型端末とスマホはミニUSBポート経由で接続し、データ通信と給電を行う。小型端末には、エタノール、アセトアルデヒド、水素の濃度を計測するセンサーをそれぞれ搭載し、呼気の組成で酒気帯び状態かどうかを判定する。飲酒している場合、エタノールとアセトアルデヒドの両方が高くなる傾向があるという。

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