厚生労働省によると今年は例年よりやや早めの11月中旬に流行期に入ったインフルエンザ。だが最近、冬以外にもインフルエンザにかかる人が増えた。ワクチン接種や予防法、治療薬について医師の篠塚規氏に聞いた。

(日経ビジネス2017年12月25日・2018年1月1日号より転載)

Adviser
医師
篠塚 規氏(しのづか・ただし)
千駄ケ谷インターナショナルクリニック院長。千葉大学医学部卒。「日本旅行医学会」を設立、専務理事を務める。

 インフルエンザが脅威といわれるのは、短期間で重篤化し、高齢者の肺炎、小児の脳炎・脳症を引き起こすリスクが高いからです。

 世界人口の増加とボーダーレス化によって、インフルエンザは冬だけ注意すれば大丈夫な病気ではなくなりました。香港では今年、「夏のインフルエンザ」が猛威を振るい、300人以上の死亡者が確認されています。

 海外旅行に行く際、海外在住の人と接触が多い場合は、渡航先の感染症情報に注意しながら、予防接種の必要性について旅行医学に詳しい医師に相談してください。

 インフルエンザは急激に悪化するため、発症初期に迅速・正確に診断する必要があります。一般的な診断キットは、鼻や喉から採取した組織を試薬につけてその反応を「目視」で判定しますが、ウイルスが一定量まで増殖しないと陽性判定が出にくく、感染を見逃したり、翌日も改めて受診を、となったりする場合もあります。

高感度な分析装置を使えば、わずか10分で目視より正確で迅速な検査ができる

 しかし最新の診断装置は、目視に比べ100倍の感度で検体を分析し、ウイルス量が少なくても検査が可能です。時間も最短で1.5分、最終判定もわずか10分と速くなっています。こうした装置を使って、インフルエンザか否かを診断する医療機関も増えています。早期に診断できれば、治療薬をのんで体力を温存することができ、同時に無意味な治療薬の処方が減るので、薬剤耐性ウイルスの発生予防にも役立ちます。

 ワクチンの予防接種はインフルエンザが流行する10~11月に注射を打つのが理想で、翌年の4月ごろまで効果が続きますが、「打てば絶対にかからない」わけではなく、「かかっても重症化しにくい」というもので、ごくまれにワクチン接種による副作用もあります。