旭人:これは、「やっぱりACLぐらい目指さないとね」という父との会話から始まったんですね。「ドリームキラー」と呼ばれる人たちがいて、その人たちは良かれと思って周りから「そんなに甘くはないよ」とアドバイスをする。でも、そのことによって、夢や目標に向けたモチベーションが落ちてしまい、結局実現できないということって、世の中には多いと思います。

 そういう意味で、ドリームキラーを防ぐには、父ぐらい言い続ける人がいないといけない。その言葉をモチベーションに、選手がその気になるために、合宿所もグラウンドも全部、J1でも満足できるレベルにしていこうとか、強化のために連携を取ってやっていけば結果はついてくるのではないかと思います。

今季からJ1の舞台に立つV・ファーレン長崎の選手たちへは、「人間力の形成」についての期待が語られた。
今季からJ1の舞台に立つV・ファーレン長崎の選手たちへは、「人間力の形成」についての期待が語られた。

色々なお話が次々に出てきますが、村井さんから明さん、旭人さんのお2人をみて、どのような経営者だと思われますか。

村井:いち消費者としては、ジャパネットさんには大変お世話になってきましたが(笑)、実際にJリーグでご一緒する中で、テレビの中にいらっしゃった明さんと、今こうやってお付き合いする明さんがまったく同じ人だと思いますね。選手に対して話をされたり、記者会見のときに話をされたりするのを見ると、やっぱり自分の言葉でしゃべっておられる。賢い経営企画スタッフや広報スタッフが書いた文章を読むのではなく、常に生の声で話せる経営者はすごいと感じます。

 旭人さんは基本的にぶれない経営者ですね。地域に貢献するとなれば徹底的にこだわるし、選手をサポートするとなれば徹底的にサポートする。目先の結果については色々な人が色々なことを言うと思いますが、相当頑固なのか(笑)、全くブレる感じがしない。自分の言葉で社会と対峙しているこの2トップは素晴らしいです。

V・ファーレンを長崎の夢に

では、最後にお三方それぞれに、今季からJ1で戦うV・ファーレンについて一言ずついただければと思います。村井さんには期待するところ、明さん、旭人さんには目指すところについてお話しいただけますか。

村井:いきなりは、メッシみたいな選手が取れるわけでもないでしょうし、急に選手がクリスティアーノ・ロナウドみたいにはなりませんから、競技力自体を一気に引き上げるのは難しいかもしれません。ただ、今日のお話からも分かるように、V・ファーレンでは選手の人間形成というか、本当に立派な人間を育てることに関して、強い問題意識を持っていただいているので、そこに最大の注力をしてほしいなと思います。Jリーグに触れていると立派な人間になるんだということを多くの人に知っていただけたたら、きっとサッカーの将来は安定する。立派な人間をつくるクラブであってほしいですね。

旭人:私は、3年前にジャパネットの社長のバトンをもらったときの感覚とすごく似ていますね。父からは社長になって2~3年の業績、数字は大事だよとずっと言われていましたし、自分自身も土台づくり、環境づくりでやりたいことは多くありました。ただ、その上で結果を出すという短期と長期の取り組みを、両方やるのは厳しいと思いながらスタートしたんですね。でも、思ったより社員一人一人の力があることに驚いた3年間だったんです。

 それと今のV・ファーレンの状況はすごく似ている。J1に上がって、父を中心に経営の土台をつくってもらっている一方、試合で結果が出ないわけにはいかない。その両方をやらないといけないタイミングが今年だと考えています。選手、スタッフの実力が問われてくるし、私の立場では選手、スタッフを信じることに尽きます。結果が出たらみんなの成果だし、結果が出なければみんなで責任を負わなければならない。どれだけ頑張れるかを楽しみに見たいという感覚ですね。

:やっぱり長崎の夢でありたいですね。子供たちの夢、高齢化社会の中でのお年寄りの生きがい、長崎県民の平和への思い、そういうものを感じてもらえるクラブにしたい。そのために、直接的にも間接的も、自分に何ができるかということを、また求め続けるこの1年になると思います。私は一流の人間でないと一流のクラブはできないと考えているから、すごく厳しい社長なんですよね。ただ、軸をブラさずにスタッフを集めて指導して、誇れるクラブにしたいと思います。

 そして、V・ファーレン長崎に直接かかわっている人だけではなく、長崎県民ってこんなに優しいんだと全国に思ってもらえるようにしたい。それが私の夢なんですよ。クラブを通して県民の人ともっとコミュニケーションが取れて、サッカー、そしてもっと広い意味ではスポーツが目指す役割、ミッションを果たせるチームにしたい。ジャパネットホールディングスがそのかじを取りながら、このミッションを50年、100年続けていってほしいという、もうそれだけです。私はそれが終われば、早くゴルフでもどんどん行きたいし、旅行でも行きたいしね(笑)。