ジャパネットHD・高田旭人社長(以下、旭人):本当にそう思います。動画配信サービスの「DAZN」と10年間で2000億円の放映権契約を結んだといった、数字の大きなニュースが話題になりますが、先方だってもちろんそんな簡単に巨費を投じるわけではない。やはり、Jリーグとしての構造改革、土台作りを強力に進められている。そうした経営について認められているからだと思います。

 一方で、選手たちがそうした部分をもっとしっかり学ばないといけないという課題もあります。V・ファーレンでも、個々の選手は本当に性格が良く人間的に優れた選手が多いのですが、当社に会社見学に来たりすると、みんな硬直してしまうんです。ビジネスの経験がないから萎縮してしまうんですね。

 我々としては、選手のセカンドキャリアをしっかりサポートするという意味でも、サッカーだけではない部分をしっかり教えなければならないと考えています。選手が30代に入って悩んでからでは遅いんですね。Jリーグとしてもこうしたところをしっかり考えられていますし、V・ファーレンとしては率先して選手の人間力をナンバーワンにすることを目指したいですね。

トップセールスで獲得スポンサーは3倍に

ちなみに、髙田明さんと髙田旭人さんのお2人が、現在お持ちの経営課題という点では、どのようなことがあるのでしょうか。

:経営においても試合においても、結果を出すことは絶対に必要だと思います。先ほどから言っていますように、大変な状況ではありますが、経営の面ではまだまだやれることがある。例えばスポンサーを獲得するためのトップセールスでは、私が就任してから従前の3倍ぐらいスポンサーを増やすことができました。ただ、それでもまだ回れている先は想定の3割ぐらいです。

 もう1つは、やはり選手がファンに対してどのように向き合うか。私は全国を回っているときに100人、200人の人から声を掛けられますが、求められれば必ず全員と写真を撮ります。講演会やパーティーに行ったら、200人ぐらいの人と話をします。それはなぜかといったら、私自身が人を好きだし、そうしたいからなんですね。それは、スタッフも選手も監督も同じだと思います。そうしたことが、県民の意識を高めていくことにもなる。つながりを強めることにもなる。

<span class="fontBold">高田旭人(たかた・あきと)氏</span> 1979年、長崎県生まれ。東京大学卒業後、野村証券を経て2003年に父の明氏が経営するジャパネットたかた(現ジャパネットホールディングス)に入社。商品開発推進本部などで要職を歴任し、12年副社長。15年社長に就任。構造改革や新規事業の立ち上げなどで積極的に業容を拡大している。
高田旭人(たかた・あきと)氏 1979年、長崎県生まれ。東京大学卒業後、野村証券を経て2003年に父の明氏が経営するジャパネットたかた(現ジャパネットホールディングス)に入社。商品開発推進本部などで要職を歴任し、12年副社長。15年社長に就任。構造改革や新規事業の立ち上げなどで積極的に業容を拡大している。

旭人:先ほどの話と重なりますが、人材育成は非常に大事ですね。選手にとっては、観客が増えた先に、グッズが売れた先に自分たちの給料がある。JリーグがDAZNと大型契約をする土台をつくってくれたから給料が上がる。そうしたことに対する感謝をそれぞれが持たないと、ファンには感動を与えられないと思います。

:確かに、そうした経験値が少ないから、教えていかなければならない。極端にいえば、ずっとサッカーだけやって、サッカーが好きで生きてきたのが選手だとすると、もっとサッカー以外の部分で成長する機会を我々が与えないといけない。

 私は高木琢也監督とはよく話をするのですが、選手との直接の接点はそれほど多くない。でも、少ないからコミュニケーションがないとは全く思っていなくて、例えばこうした取材を受けて、私の話が雑誌や新聞に出れば、それで僕の考え方を選手たちは理解してくれる。それでいいと思っています。直接選手と話をするのは、年齢が近い旭人社長に任せています。

旭人:役割分担という点でいえば、高木監督は現場の責任者で、私は強化などの担当役員なので、経営の目線で関わっています。私としてはとにかく、サッカーの専門的なところは監督や強化部長の意見を尊重していますし、自分が出しゃばってこの選手を獲得しようと主張することはありません。あくまで意見を聞きながら、最終的にどこまで費用を出すかなど、経営としてのジャッジをしていくという立場ですね。その分、毎週会議をやって密にコミュニケーションを取っています。

次ページ 社長と副社長がけんかをしていると勝てない