正直言えば、大変な会社だった
高田明さんにとっては、Jリーグのクラブを立て直すという役割で、社長職への復帰となりました。ご自身ではどのように捉えていたのでしょうか。
V・ファーレン長崎・高田明社長(以下、明):それまでもV・ファーレンの株主ではあったけど、経営の部分にはタッチしていなかったので状況が全く分からなかったんですよね。何も分からない中で現実的に危機が叫ばれて、(完全子会社化前の)4月25日に僕は社長になったわけですけれども、自分の経験の中で、僕流にやればどうかできるだろうとは思っていました。
ただ、正直言えば、大変な会社だったとは思います。これほどマイナスからスタートする会社はないというぐらいに、内部の状態が見えにくく、把握するのに半年以上かかりました。従来はスポンサーに無料のチケットをばらまいていたから、チケット単価が600円に届かず、経済的な観点からは大赤字。観客動員数も4000人とか5000人にとどまっていました。
でも、問題点ばかり言っていても県民の支持は得られないから、やっぱり結果を出さなきゃいけない。収支の問題は僕自身の経験からなんとかなると考えていましたが、試合も含めて結果を出す上では、投資を行うジャパネットHDの存在は重要だった。私の役割はむしろ関係者やファンの人たちと向き合い、色々な話をして雰囲気を変えてきたということでしょう。

クラブ経営としては累積損失で3億円以上という情報もあり、多難の船出だったと思います。どのようにしてクラブを変えていこうとされたのでしょうか。
明:一番難しいのはクラブ経営に関わる人の関係ですね。僕は商売をずっとやってきた人間だから、苦労する部分が今でもありますよ。あとは、チーム力の強化という面では、旭人社長が全部やってくれています。僕自身は強化にはあまりタッチせず、経営の足場を固めていくのが仕事というように分担していますね。

旭人:本業のジャパネットHDとしては、3年前にバトンをもらって経営の全権を任せてもらっています。ただ、V・ファーレンという長崎のクラブを経営する上では、人を集める求心力が絶対に必要になる。それは父ではないとできないと考えて、クラブの社長就任をお願いした経緯があります。
その上で、ジャパネットHDとしてもチームを支えるために、役割を父と2人で分けた方がいいねという話は最初からしていました。そのため、私の方は強化、人材育成、グッズのところをV・ファーレンの役員としても担当し、経営全般のことは父が社長として取り仕切るようにした。役割をはっきり分けているから、実際のところは混乱することもないですね。
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