1月28日の記者発表会では、マトリクソームへの第三者割当増資の内容が発表された。その引受先の内訳はOUVCが運営する投資ファンド(詳細は後述)が1億5000万円、ニッピが7500万円、SMBCベンチャーキャピタルが運営する投資ファンド(SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合)が5000万円と、合計2億7500万円となった。

マトリクソームの新社長の山本卓司氏(画像=日経バイオテク)

 さらに、マトリクソームの新社長として、ニッピから出向した山本卓司氏が就任したことも同時に発表された。こうした経営陣の適時再編も、OUVCとニッピ、マトリクソームの関係者が話し合った結果と推定できる。ベンチャー企業の成長ステージに応じて、経営陣の再編・最適化を話し合うのも、VCのハンズオン支援の重要な仕事である。

 マトリクソームが開発・販売する細胞培養用基材とは、わかりやすく言えば「タンパク質の一種である組み換えラミニン511E8フラグメントを主要成分とする基材が中心」と、バイオテクノロジー専門誌『日経バイオテク』の河野修己副編集長は解説する。学術面では、中身は専門用語だらけの難解な細胞培養用足場材料として表現されている。創業者の関口教授は「細胞の種類に応じて、最適な細胞培養用足場材料を提供する基盤技術を持っている」と、記者会見で語った。

第1号投資ファンドを2015年7月31日に設立

 前述したように2014年12月22日に設立されたOUVCは、VCとして投資活動を始めるために、まず投資ファンド設立を目指した。同社の第1号投資ファンドは2015年7月31日に「OUVC1号投資事業有限責任組合」(OUVC1号ファンド)として設立された。この投資ファンドには、大阪大が100億円を出資したうえに、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJキャピタル、みずほ証券、みずほ銀行、池田泉州銀行(大阪市)、三井住友信託銀行、りそな銀行といった有力金融機関8社が出資を約束した。OUVCは、当初から120億円規模の投資ファンドを目指し、クロージングした2015年12月31日には、総額125億1000万円に達した。

 大阪大が同投資ファンドに出資した100億円は、2012年度の補正予算によって、現政府(安倍晋三内閣)が東北大学などの4大学(東北、大阪、京都、東京)に合計1000億円を出資したものが元手になっている。大阪大には1000億円のうち、166億円が出資された。

 第1号投資ファンドは運営期間が10年間で、最長5年の延長が可能という設計になっている。最初の5年間に1社当たり3億円から5億円程度を投資する見通しだ。その後は、投資したベンチャー企業の成長に応じて、必要ならば追加投資を適時実施していく。もちろん、この間に出口戦略として投資先ベンチャー企業がIPO(新株上場)をしたり、既存企業にM&A(合併・買収)してもらったりといった前途有望な企業に育て上げる目論見だ。

 OUVCは第2号投資ファンドの設立も考えている。現時点での目論見では、5年後に大阪大から残りの66億円の内の50億円から65億程度を出資してもらい、さらに民間の金融機関などから約50億円の出資を受け、合計100億円規模にする。このようにして、VCとして成長していく計画だ。

 OUVCの投資先は原則、(1)大阪大の優れた研究成果を活用したシードやアーリーステージの大学発ベンチャー企業、(2)大阪大と企業との共同研究成果から産まれたジョイント・ベンチャー企業、(3)既存の大阪大発ベンチャー企業――の3分類と表現している。