テレビの大きさも自由自在

 エプソン販売の蟹澤氏は、「将来は、普通の家庭にもプロジェクションマッピングが浸透するだろう。テレビやパソコンの画面を、好きな場所に好きな大きさで映し出すことすら可能になる」と話す。そうなれば、業務用途にほぼ限られていたプロジェクター市場が一気に拡大することになる。

 すぐに機器が起動して、映像を投射できることが3つ目の利点だ。光源に水銀ランプを使う場合、内部の水銀が蒸発するまでに時間がかかり、その間はぼんやりとした明るさでしか映像を投射できない。一方、レーザープロジェクターなら瞬時に明るい映像を表示できる。

 「医科大学の講義では手術の様子など、授業の流れに合わせて動画を見るケースもある。レーザープロジェクターだと無駄な待ち時間が発生しない」と、リコーOS事業本部商品戦略センターの久保良生UST-PTリーダーは指摘する。

 最後の利点は「色の再現性」だ。パソコンで作った資料を映し出すとき、モニターに表示される色とプロジェクターを通じた色は微妙に異なる。プロジェクターが表現できる色の範囲に限界があるためだ。

 指標は国際電気標準会議(IEC)が定めた色の規格「sRGB」で、これを何%満たすかが目安になる。例えばキヤノンのランプ式プロジェクター「LX-MU700」は82.9%なのに対して、同社のレーザープロジェクター「LX-MU800Z」は91.9%と高い。「新車の塗装など、微妙な色の違いが重要なビジネス用途に向いている」(キヤノンイメージコミュニケーション事業本部PJ事業推進センターの佐藤浩シニアプロジェクトマネージャー)

 家電量販店などで数万円で買えるランプ式に対し、レーザープロジェクターの価格は安いものでも10万円から数十万円する。それでも世代交代が始まっているのは、価格差を上回るメリットがあるからだ。各社は新市場で有利な地位を築こうと技術開発を本格化している。低価格化が進めば、レーザープロジェクターの普及ペースは一気に加速しそうだ。