震災から2年近く経つ今も、熊本は復興の途上にある。その原動力たらんと頑張る「おかみさんクリエイター」たちを、作家の野地秩嘉さんが訪ねた。(写真:宮井正樹)

 気象庁は地震の「震度」を10段階に分けている。それは震度1から震度10までの10段階ではない。震度5と6にはそれぞれ「弱」と「強」があり、実質的にもっとも激しい地震は震度7だ。震度7とは耐震性の高い木造家屋では倒壊するものが多く、耐震性の低い鉄筋コンクリートの建物は倒れてしまうほどの揺れだ。

 阪神大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)はいずれも震度7の揺れである。

 そして…。

 2016年4月に起きた熊本地震ではこの最大震度の揺れが2度も起こった。その結果、50人の方が亡くなり、熊本県内と隣接する大分県の建物には大きな被害が出た。地震発生からしばらくは盛んにその状況が報じられたが、時が経つにつれ、すっかり現地の情報は少なくなった。しかし、復興が成ったわけではない。いまだ仮設家屋に暮らす人がおり、県のシンボルだった熊本城は修理中だ。県民にとって復興はまだ半ばといった状況だろう。

 そんな現地に行って取材をし、感じたことは「人が集う」ことの大切さだ。

突き進むエネルギーが復興に一役

 例えば、被害を受けた建造物を修理する建築業の人々、生活者の困り事をサポートするボランティアの人々、あるいは、復興に一役買えればと観光に訪れる人々がいる。そうして人が集う場所には自ずと活気が生まれる。地元の人々の努力とそれらを上手に組み合わせることができれば復興は進み、地方経済は活性化するだろう。やはり、大切なのは人々が集まってくることなのである。

 「ええ、僕もそう思います」

 語るのは自身が県内、天草市出身の放送作家兼プロデューサー、小山薫堂さんである。映画「おくりびと」の脚本家でもあり、くまモンの生みの親だ。

 「僕は県のアドバイザーをやっていて、熊本地震の前からちょくちょく地元に戻っていました。熊本で仕事をしていて気づいたのは、優秀な女性クリエイターが多いことなんです。『できるなあ、この人』と思うのは、おかみさんタイプの人で、こういうと、アレなんですけれど、だんなさんよりもはるかに優秀で、バリバリ働いている。僕は勝手に『おかみさんクリエイター』と呼んでいるのですが、この人たちは東京と地方を比較して考えたりしないで、自分の信じる道をまっしぐらに突き進んでいます。クリエイティブの質もいいのですけれど、突き進むエネルギーが熊本復興に役立っているんです」

 では、おかみさんクリエイターを紹介してくださいと小山さんに頼んだところ、3人のクリエイターを紹介してくれた。それぞれどのように熊本復興にかかわっているのだろうか。