千葉祐士社長は「生産者と消費者をつなぎ、食の未来をデザインする」と語る

 「日本の食と農の未来を、消費者と生産者と共にデザインする」。こう語る千葉社長は、一関市で牛の売り買いに携わる「家畜商」の家系。大手企業を経て、1999年に個人経営の焼肉店「格之進」を開店した。牛肉の扱いには自信があったが、当初は客足が伸びなかった。「いいお肉を切って出せばいいと考えていたが、商売の世界は甘くなかった」と振り返る。

 転機となったのは、開店して約2年がたった頃。枝肉を数週間保冷庫で保存する伝統的な「枯らし熟成」という手法を試してみたところ、味わいに深みが増すことに気づき、本格的に熟成肉を手掛けるようになった。

 さらに、冒頭の及川さんはじめ生産農家と関係も築いてきた。和牛の魅力を最大限に引き出し、来店客に伝えようと工夫を凝らす。「食に関するリテラシーが高まれば、消費者にとっても、生産者にとっても大きな利益がある」

 熟成肉と一頭買いは、今に至るまで門崎の柱となっている。千葉社長は「お肉を使って新しい価値を実現するのが自分の役割」と確信。一大消費地である東京への出店を加速させてきた。

 近年、消費者と生産者の「懸け橋」を目指し、特に注力しているのが見学ツアーだ。取引のある肥育農家の牛舎に東京など都市圏の格之進ファンを送客し、実際の現場を見てもらう。一関市など行政とも連携し、地域の特産品の訴求にも努めている。

熟成肉を使った調味料も開発

DATA
門崎
2008年設立
本社 岩手県一関市川崎町薄衣字法道地21-16
資本金 3500万円
社長 千葉祐士
売上高 8億円(2017年9月期)
従業員数 117人
事業内容 外食事業
「肉」をキーワードに幅広い店舗を運営
●門崎の店舗展開の特徴

 今秋には一関市で廃校になった小学校を改築し、本社兼工場を整備。和牛を使ったハンバーグなどの生産のほか、食育活動の拠点にする。11月末には、六本木でも複数の業態をそろえた肉料理専門ビルをオープンする。和牛の肉に麹(こうじ)を加えて熟成させた調味料「牛醤(ぎゅうしょう)」など、関連商品の開発や販売も積極的に行っている。

 門崎の2017年9月期の売上高は8億円だが、20年9月期には30億円まで伸ばす計画。農林水産省や大学などと、食産業の発展に向けた取り組みで連携する機会も増えている。一般社団法人「全日本・食学会」の肉料理部会分科会「肉肉学会」はその一つだ。

 千葉社長は「多様化する消費者に向けて、和牛の多彩な味わいを伝えれば、畜産業の振興につながる」と強調する。和牛という日本が誇る食文化の価値を高めるため、さらにビジネスモデルを磨き上げる考えだ。

DATA
門崎
2008年設立
本社 岩手県一関市川崎町薄衣字法道地21-16
資本金 3500万円
社長 千葉祐士
売上高 8億円(2017年9月期)
従業員数 117人
事業内容 外食事業
「肉」をキーワードに幅広い店舗を運営
●門崎の店舗展開の特徴