「ハイブリッド木造」に期待

国産木材の利用は戦後大きく減少した
●供給源別にみた木材の利用状況
国産木材の利用は戦後大きく減少した<br/>●供給源別にみた木材の利用状況
注:燃料材は除く 出所:林野庁
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 できるだけ多くの木材を使いつつ、コストを抑えるにはどうすればいいか。現実解として期待されるのが、場所によって非木製の構造部材と使い分けるハイブリッド型の木造建築だ。

 集成材メーカーなど約90社で構成する日本集成材工業協同組合が大臣認定を取得したのは、鉄骨内蔵型の集成材だ。H型鋼をサンドイッチのように集成材で挟み込む。外周が燃えても周縁部の集成材が炭化し、内部への酸素供給が断たれるため、断熱材のような役割を果たす。「構造部分が鉄骨なので実質的には鉄骨造」(片岡辰幸専務理事)だが、コンクリートの外側だけを木材で覆うよりは木の使用量が多くなる。

 コストの削減を優先し、非常階段など人目に触れる機会の少ない部分はRC造を併用する研究も進む。鹿島が4階建てのオフィスビルについて、柱と梁のうち75%をRC、25%をFRウッドとした試設計では、構造が全てRCの場合と比べても、コストは5%高い水準に抑えられたという。

 木造建築の広がりは、国産木材の有効利用につながる。戦後植林した日本の森林では今、多くが収穫期を迎えている。ただ米国やカナダの輸出攻勢に押された事情もあり、かつて9割を超えた日本の木材自給率は一時20%を割り込んだ。政府は2010年に公共建築への木材利用を促す法律を施行した。2025年をめどに木材自給率を50%まで高める考えを示している。

 現存する世界最古の木造建築は法隆寺──。国土の3分の2を山林が占める日本では、古来より建築は木造が基本とされた。ところが太平洋戦争で主要都市は焼け野原と化し、1959年の伊勢湾台風でも多数の木造家屋が倒壊した。その反省からRC造や鉄骨造が普及し、日本人は木のぬくもりから遠ざかった。時代は変わった。耐火性能の向上が新たなイノベーションを生みだし、これからは木造建築の復権に弾みがつきそうだ。

(日経ビジネス2016年11月28日号より転載)