「よそ者」「ばか者」「若者」を受け入れよう

池田:そうした動きを進める上でも、地方はもっと柔軟になっていかないといけない。新しい人、新しいことを積極的に受け入れていかなければいけないけれど、地方の保守的なところが妨げになることがあります。地域振興でよく言われているように、やはり「よそ者」「ばか者、あるいは変わり者」「若者」を引き入れていくことが大事だと思います。

増田:同質の者の中に異質な者が入って来ると、それを排除しようという動きが出てくるのは仕方がないことです。でもそれでは、地方が新しいことに挑戦して大きく羽ばたくことはできない。地方創生を進めるためには、そういう人たちをコミュニティの中に受け入れる度量が必要。これは必須です。

池田:私は、地方創生を生み出す場づくりという点で、山形県鶴岡市の「Spiber」のケースがいい手本になると思っています。クモの糸をヒントに新しい素材を開発して量産化を目指しているベンチャーの会社です。関山和秀社長はIターンで鶴岡に入りましたが、地方創生の実践者として私はああいうケースをもっと増やしていきたいと思っています。

増田:関山社長は東京出身で、最初は大学の研究で鶴岡に入っています。その意味で、あのケースは鶴岡市が慶応義塾大学の先端生命科学研究所を誘致したことが成功要因です。当初は反対の声もあったようですが、本当によくやりました。

池田:関山社長は、人間関係があの場所で創業する最後の決め手となったと言っていました。研究所にいるとき、隣家のおばあさんが野菜を差し入れてくれたことがたびたびあったそうです。そういう環境の中でまわりの人たちとの縁が自然に深まり、この人たちがいる場所で絶対に成功したいと思ったと言っています。大げさに感じられるかもしれませんが、大事な話だと思いました。

増田:いま鶴岡市には、彼のあとに続こうという研究者がたくさん出てきています。研究所を核にして世界中から人材が集まって、ベンチャーも出てきて、効果が県全体に及んでいます。こういうケースが全国各地からどんどん出てきてもらいたい。

池田:そうすることで、「地方でも可能性がある」「むしろ地方のほうがああいうものは出やすい」というふうに流れが変わってくるかもしれない。私は世の中の風潮をそういうふうに変えていきたいと考えています。

増田:日本全国が全部同じでなくていいんです。全部を平等でやるというのはだめでメリハリをつけないと。それぞれの場所で特色のあることをして、その中からいろいろな成功モデルが出てくると、地方創生の動きがもっと活発になっていくと思います。

(後編に続く)

地方の自立・活性化の具体策と、それに欠かすことのできない地域リーダーの育成案などからなる「地方イノベーション」を、実践的に説いた本です。掛け声だけに終わりがちな地方創生をいかに実践・実現するか。主体的かつ自立した「民」とそれを支援する「官」、それぞれの役割と活動内容を具体的に提示します。