増田:最低賃金を見ても大都市と地方では相当な差があります。東京の時給が932円に対して新潟は753円ですから、200円近くの差があるのです。ただし、生活コストはだいぶちがいます。可処分所得でいうと東京のほうも案外たいへんだから、本当の差がどれくらいかというのをきちんと見ないといけないと思います。

 その上で、やっぱり賃金が減ることに対して多くの人は抵抗感があるから、その差をなんらかの形で補填するというのはUターンやIターンを促進するための策として考えなければならないかもしれません。

池田:補填期間は3年くらいでいいと思います。地方でもそれなりにがんばれば東京にいたときと同じくらいの給料を取れます。そのギャップイヤーの3年の中でがんばって生活基盤をつくれば、最初に単身で行っても奥さんや子どもを呼べるようになりますから。

増田:そうするとその3年間を地方移住のお試し期間にできる。賛否はあると思いますけど、そういう思い切ったことをしていかないと、いまの東京一極集中の状況を解消するのはなかなか難しいと思います。

地方の中核企業が大きな役割を果たすべき

池田:そもそも地方には高等教育機関や大企業が少ない。そこで優秀な人は大都市の大学に行って、そのまま就職するというのが、ずっと続いている流れです。

増田:おっしゃるとおりで、賃金格差の問題、やりがいのある仕事が少ないということで、一度出るとなかなか地方に戻って来られなくなっています。

池田:それならば、やりがいのある仕事、新しい技術を使ってイノベーションを起こす場を自らつくればいいのではないか。その流れを後押しすることが地方創生で大事なことだというのが私の考えです。そのためにもベンチャーや地方の中核企業によるイノベーションとか、新しいことへの挑戦が地方で活発に行われるようにする必要があります。

増田:日本は東京とそれ以外に極端に分かれていて、一極集中の東京はどんどんグローバルスタンダードに合わせる方向に向かっています。ちょっと極端なことをいうと、全部数字で判断する世界になってきています。

 そういう中から新鮮な着想で次々と新しいものを生み出すのは難しいので、緩やかな発想ができる地方をイノベーションが起きる場にするというのは面白い発想だと思います。

池田:その中で私は、地方の中核企業が大きな役割を果たすべきだと思っています。これまでの経験を活かして自らがイノベーションを起こすだけでなく、新しい挑戦をサポートする。

 昔の日本では、地域の発展を考えて旦那衆が損得勘定抜きで若い人の挑戦を支援するようなこともありました。新潟では、そういう役割を果たす旦那ファンドのようなものも生まれています。こういう流れが全国的に広がれば、地方創生の動きがもっと活発になります。

増田:相手の顔を知っていて、その人の体温や心の中までわかっているから、目先の利益にとらわれずにパパッとお金が出せたりする。それが旦那衆による支援のよさだと思います。それは日本のよさでもありますが、グローバルに向かっている東京ではなかなか難しい。これはまちがいなく地方の潜在的な力の一つだと思うので、ぜひ進めてもらいたい。