まずは看板に注目しよう。看板に「懐石」「日本料理」の文字があれば、お値段の高い店と考えてよい。「割烹」は高級店からちょっと上品な居酒屋といった感じの店まで幅広い。「小料理」とあればせいぜい5000~6000円くらいまで。

 洋食の場合はフランス料理店だと「レストラン」「ビストロ」「ブラッスリー」「カフェ」の順に、イタリアンだと「リストランテ」「トラットリア」「オステリア」「ピッツェリア」「バール」の順にカジュアルになる。ただし、客単価1万円を超える「ブラッスリー」や「オステリア」もたまにあるので、あくまで目安に。

大手チェーンは落ち着かない可能性大

 一般的に言って、小さな看板よりも大きな看板を掲げている店ほど、客単価の低い大衆店が多い。内部にLEDなどの照明を使ったアクリル製の看板は高価であるため、大手飲食企業のチェーン店である可能性が高くなる。店頭に大量の食品サンプルや、カラー写真をふんだんに使った大判のメニューブックが置かれる店も同じ理由でチェーン店の可能性が高い。こうした店は、若者グループや家族客が多く、ひとりの飲み食いにはちょっと落ち着かない。

 暖簾も値段の手がかりになる。手入れに手間がかかり高価な麻製の暖簾を使う店はお値段が高く、綿製や縄暖簾は大衆店が多い。中が覗けるなら内装やテーブルセッティングも判断の材料になる。

 例えば折柄や無地で白のテーブルクロスを使う店はお値段高めで、薄い色の無地クロス、チェック柄などの柄物クロス、紙製クロスとなるにつれて大衆店になる。ワイングラスやナイフ、フォークがフルでセッティングされている店は当然高く、ナイフレスト(箸置きのナイフ・フォーク版)を使う店は大衆店だ。また、料理ジャンルを問わず、テーブルにカスターセット(調味料や紙ナプキンを置く台)や取り皿が置かれている店は値段の心配をしなくていい。

 この手の値段の手がかりはほかにもいくつもあるが、長くなるのでこのへんで。大事なのは店頭をよく観察して、中はこんな感じで、こんな客層で、こんな料理が出てくるだろうという予想を立てることだ。中に入って予想が当っていれば、それで良し。外れた場合は、どこで判断を間違ったのかを考える。

 これを繰り返しているうちに、自分なりの飲食店判別基準が育っていき、ハズレが少なくなる。扉を開けてあまりにも自分が望んでいた店と違うようなら、「あっ、すみません。お店を間違えました」と言って立ち去ればいい。店の人間はこんなことをいちいち気にしない。ひとり外食の上達には少々の図々しさも必要だ。

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