
スタートアップ(急激な規模拡大を狙うベンチャー企業)の時代は終わりつつあるという指摘を聞くことがあるが、私の意見は違う。スタートアップの時代は始まったばかりだ。2018年以降も、起業そのもの、そしてスタートアップへの投資、ともに活況を呈していくだろう。
起業トレンドの繰り返し
アマゾン・ドット・コム、グーグル、フェイスブックといった、かつてのスタートアップが強大になり過ぎ、新たにスタートアップを起こす余地がもうない。これがスタートアップの終焉を語る人の理屈だが、そういう話は過去何度も聞いた。
昔、IBMが強大だからこの分野に起業の余地はないと言われた。マイクロソフトが強大になるとまたも起業は難しいと言われた。グーグルやフェイスブックなどのスタートアップがマイクロソフトを脅かす存在になることなどありえないとも言われた。すべて間違っていた。
アマゾンやグーグルがスタートアップを次々に買ってしまう、という指摘もある。だが、彼らが高値でスタートアップを買うことはスタートアップにとっても良いことだ。
トレンドには繰り返しがある。スタートアップも、もてはやされたり、もう終わりだと言われたりすることを何度も繰り返してきた。
スタートアップの最初期段階から投資する、いわゆるエンジェル投資が減っているという指摘がある。これは事実だろう。2015年ぐらいにエンジェル投資のブームがあったため、その反動が起きている。
当時成功したエンジェル投資家がその後ベンチャーキャピタルに移り、後期の大型投資を手がけるようになったこともエンジェル投資が減った一因だろう。ただし、エンジェル投資の意義や機会が失われたわけではない。
テクノロジートレンドには繰り返しが多い
トレンドの繰り返しという点ではテクノロジーそのものも同じだ。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)が注目されているが、もう5度目くらいのチャレンジではないだろうか。数年おきにVR 時代が来ると言われ、そのたびに何も来なかった。
ところが、今回のVR とAR は実際に使われているし、大手企業も投資を始めている。ようやくその時代になったということだ。
2018年以降、有望なテクノロジーとしてはAR、VRの他に、AI(人工知能)やロボティクスがある。こちらも過去何度も登場しては消えてきたが、いよいよ実用になってきた。
もう一つ、建設も面白い。イーロン・マスク(SpaceXとテスラモーターズの創業者)はトンネルを掘るスタートアップに取り組んでいる。私もモジュールを組み合わせるだけで建設作業ができるスタートアップに関わっている。
日本のスタートアップにも可能性あり
日本においてもスタートアップの可能性は大きい。日本の創造性(クリエイティビティ)と職人技(クラフトマンシップ)はとても優れている。以前、秋葉原に行ってそれを強く感じた。
玩具店に入ると、ある階には水を使う玩具、別の階には空飛ぶ玩具、また別の階には車、といったように実に沢山の玩具が並んでいた。プロダクト(製品)に対する強烈なこだわりが伝わってきた。
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