プルサーマル炉も行き詰まる

 そこで、注目されるのが、プルトニウム239とウラン238から成るMOX燃料を通常の軽水炉で燃料として使う方法。これがプルサーマル型原発だ。ところが、こちらも上手く行っていない。

 現在、日本に存在するプルサーマル型原発は、東京電力柏崎刈羽3号機、九州電力玄海3号機、関西電力高浜原発3、4号機、四国電力伊方3号機などがある。この内、高浜原発3、4号機は、2016年初めに相次いで再稼働したが、同年3月には司法判断で運転が差し止められている。

 柏崎刈羽については、10月16日に行われた新潟知事選で、再稼働慎重派の米山氏が当選したため再稼働の目処は立たず、玄海も周辺の伊万里市長らが反対するなど、先行きは不透明だ。

 このような状況下、2016年10月末現在、国内で稼働中の原発は九州電力の川内原発2号機(鹿児島県)と四国電力の伊方3号機(愛媛県)の2基だけで、このうち、伊方3号機が唯一のプルサーマル発電所だ。

 結局、国内の軽水炉から出てきた大量のプルトニウムは、ほとんど消費されないということになる。ここで、プルトニウムの第3の顔(核のゴミ)が現れる。結局、プルトニウムは核のゴミとして単純に処分するしかないのではないか。

 しかし、その実現性も現状では限りなくゼロに近い。高レベルの核のゴミとなると、数万年間も安全に保管しなければならないのだが、そのような施設は世界中にまだ1カ所もなく、建設中のものがフィンランドとスウェーデンに1カ所ずつあるだけだ。日本には候補地さえないし、そもそも、地層の不安定な日本では建設不可能という見方もあるぐらいなのだから。

原発は「問題の増殖炉」

 日本が目指す「核燃料サイクル」とはこうだ。まず、軽水炉でウラン燃料を消費して発電する。その時に副産物として生成されるプルトニウムを使って高速増殖炉を動かし、さらにプルトニウムを量産する。それで、増えたプルトニウムを今度はプルサーマル炉で消費する。

 普通の軽水炉だけだと、貴重な核燃料は一度しか使えないが、高速増殖炉とプルサーマルを使えば、その何倍も有効に使えるというわけだ。

 ところが、高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉の瀬戸際にあり、さらに、プルサーマルの再稼働も進まず、結果として、進んでいるのは核廃棄物の増加だけ、という状況だ。そして、その最終処分場がない。正に無間地獄。

 こういう状況では、原発はただ問題を増やすだけの「問題の増殖炉」と言わざるを得ないことになる。原発が存在する限り、問題は解決できないことだ。

 政府は「もんじゅ」については廃炉も含めた見直しを進めるが、その一方、核燃料サイクルと高速炉開発は堅持する方針。官民で高速炉開発会議を立ち上げ、フランスで計画中の高速炉「ASTRID(アストリッド)」での共同研究を検討しているようだ。

 研究の継続そのものには価値があるのかも知れない。しかし、「ASTRID計画」にも不透明なところが多く、これに参加してどんなメリットがあるのかは現時点では不明だ。

 鹿児島(三反園氏)、新潟(米山氏)と、相次いで原発慎重派知事が誕生。有権者に原発再稼働への抵抗感が強いことが明確になった。そもそも、原発は必要なものなのか、また、現在の人類が扱えるものなのかどうか、考え直す良い機会だ。