プルトニウムの悪夢

 ここがやっかいなところ。プルトニウムは、使い方によって、①原発の燃料になり、②原爆の材料にもなる。しかし、使用しなければ、③「核のゴミ」。しかも、半減期が数万年という非常にやっかいなゴミである。

 ②の原発の燃料として使う1つの方法が高速増殖炉だ。投入した以上のプルトニウムが生産される。と言っても、プルトニウム自体が「増殖」するわけではない。

 高速増殖炉の燃料としては、軽水炉から得られたプルトニウムとウランからなるMOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)を使用する。その組成は、燃料となるプルトニウム239が20~30%で、残りはほとんどが核分裂を起こさないウラン238。

 ここでも量的に一番多いのがウラン238であり、「つなぎ剤」だ。高速増殖炉の中では、プルトニウムが燃料として燃えて(核分裂して)エネルギーを生産する。この時に、「つなぎ剤」であるウラン238に中性子が当たり、プルトニウムが生産される。つまり、高速増殖炉の中では、ウラン238を原料としてプルトニウムが生産されるのだ。

 こういう「夢」に資源小国日本が飛びついたこと自体は理解できる。「もんじゅ」は1991年5月に完成し試運転開始。3年後の1994年4月5日午前に臨界に達し、翌1995年8月29日には待望の発電が開始された。この時点では、正に「夢の原子炉」。期待が盛り上がった。

 しかし、絶頂期はあっと言う間に終わる。発電開始からわずか4カ月後の同年12月8日にナトリウム漏洩による火災事故が発生。事故自体も深刻なものだったが、それ以上に影響が大きかったのはこの事実が一時隠ぺいされたこと。そのため、国民の信頼を一気に失うこととなった。「もんじゅ」の命運は、実質的にはこの時に終わってしまったのだ。

 その後、運転再開のための本体工事が行われたが、2007年の工事完了までに12年もかかってしまった。そして、2010年5月6日に試験運転を再開したが、同年8月の炉内中継装置落下事故により再び稼働ができなくなった。以来、年間200億円の維持費を食い続ける「金食い虫」として、大きな批判にさらされ続け今日に至っている。