高速増殖炉「もんじゅ」。その名前は、若狭湾に面する天橋立南側にある智恩寺の本尊「文殊菩薩」に由来しているらしい。文殊菩薩は知恵をつかさどる菩薩で、「三人寄れば文殊の知恵」ということわざの元になっている。凡人でも三人で集まって相談すれば、文殊に劣らぬほどよい知恵が出る、という意味なのだが…。

 政府は9月21日、原子力関係の閣僚会議を開き、高速増殖炉「もんじゅ」について、年末までに廃炉を含む抜本的な見直しをすることで合意した。1994年の稼働から22年。事故とトラブル続きで実際に稼働したのはわずか250日。遅すぎた決断である。

高速増殖炉「もんじゅ」
(写真:写真:日本原子力研究開発機構)

「夢の原子炉」のはずだったが…

 「もんじゅ」は高速増殖炉(FBR)の一種。キーワードは「増殖」。原子炉を運転しながら、消費した以上の核燃料を生産できることを表している。

 通常の原子炉(軽水炉)では、核燃料としてウランを使う。ただし、「燃料」とは言っても、実際に燃えて(核分裂して)エネルギーを生み出すウラン235は全体の3〜5%程度しか含まれておらず、残りはエネルギーを生み出さないウラン238である。いわば、「つなぎ剤」のようなもの。

 では、このウラン燃料を原子炉内で使用した後はどうなるか。ウラン235の原子核は中性子を吸収すると2つに分裂する。これが、核分裂で、この時に膨大なエネルギーが放出される。核分裂反応では様々な核種が生成されるのだが、代表的な生成物はイットリウム95とヨウ素139。

 また、この際に多くの中性子が放出され、それによって自律的に反応が続くのだが、そのまま制御しなければ核分裂が暴走し、大量のエネルギーが一気に解放され核爆発を起こす。これが原爆だ。そのため、原子力発電ではホウ素、カドミウム、ハフニウムなどでできた制御棒を挿入し余分な中性子を吸収している。

 これが原子炉がエネルギーを発生させる反応だが、原子炉内では、もう1つ重要な変化が起こる。燃えない「つなぎ剤」であるウラン238が原子炉内で、プルトニウム239に変わるのだ。

 プルトニウムとは何か。長崎に投下された原子爆弾の材料である(広島に投下された原爆の材料はウラン)。プルトニウムはウランと同じように原爆の材料になる。ということは、原発の燃料としても使えるということである。