
今年4月27日、横浜市都筑区にあるオズコーポレーションでビンテージカーのテスト走行が行われた。車は、BMW「Isetta(イセッタ)」。前方2輪、後方1輪の変形3輪自動車で、日本にもファンは多い。この車が音もなく走る。なぜ、「音もなく」なのか。それは、この「Isetta」が電気自動車だからだ。
「心臓」は「リーフ」から移植
「Isetta」は1950年代半ばにイタリアの自動車メーカー、イソが生産したミニカー。ライセンスによりスペイン、ベルギー、フランス、ブラジル、ドイツ、イギリスでも生産された。中でも、ドイツBMWによる生産台数が圧倒的に多いため、「Isetta」=ドイツ車と誤解されることもある。
全長2.3m・全幅1.4m・全高1.3mという小さな車体。現在の規格では「軽」だが、この車が輸入された当時の規格がそのまま適用されているので、普通車扱いだ。一番の特徴はそのドアで、車体前面が冷蔵庫の扉のように手前に開く。ハンドルや計器類もドアの内側にくっ付いたままだ。出入り口はこの前面ドア1つだけ。
今回オズが手がけた「Isetta」もBMW製造によるもの。もちろん、元はガソリン車だが、ガソリンエンジンをモーターに積み替えたコンバートEV(改造EV)である。
コンバートEV自体はそれほど珍しくないが、この車のユニークな点はバッテリーにある。実は、最近まで日産「リーフ」に使われていたものなのだ。
この「Isetta」が、初めてEVに改造されたのは2年前のこと。当時、コストパフォーマンス的に最適と考えられた中国製リン酸鉄電池(リチウムイオン電池の一種)を使っていたが、その後「リーフ」の再生バッテリーが出回るようになったため、今回換装したというわけ。古川治社長は、「調子は極めて良い」「応答性などで雲泥の差」と言う。
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