騒音問題解決がカギ

 昨年11~12月に開催されたCOP21では、日本の消極性が際立った。2030年の発電に占める再エネ比率22~24%は、「最低でも40%」というEUの目標には遠く及ばない。筆者は、最低でも30%、できれば40%を目指すべきと考える。

 水力は、大型ダムの増設がほとんどないので大体10%弱で変わらない。太陽光については、政府目標は7%だが、筆者は10%以上は楽に達成できると見ている。15%も可能だと考えており、水力と合わせれば合計20~25%だ。地熱、バイオなどは、政府見通しどおりで5%前後だとすると合計で25~30%となる。

 問題は風力。政府目標でわずか1.7%だが、これを、5%~10%に上げることができれば、再エネ全体で30~40%が可能になる。

 とは言え、環境アセスをただ緩和すれば良いということではない。特に、日本は人口密度が高いために、多くの風力発電施設でなんらかの騒音問題を抱えている。

 筆者が西日本のある風力発電所を訪問した時のこと。最初は、風が穏やかでほとんどの風車が回っていなかったのだが、事務所の人達と話をしているうちに風が出てきて回り始めた。しかし、良かったな、と思う間もなく電話が鳴った。「うるさい」という苦情だ。わずか数軒だが、数百メートルの距離に民家がある。現在はどうしているのか知らないが、その当時は、苦情があった場合には、民家に一番近い風車を止めていたようだ。

騒音問題で訴訟例も

 訴訟問題に発展する例も少なくない。2015年4月22日、愛知県田原市の風力発電設備の騒音により苦痛を受けたとして、近くの住人が設置会社に稼働停止と損害賠償を求めた訴訟の判決公判が開かれ、名古屋地方裁判所豊橋支部は、住人の請求を全面的に退ける判決を下した。

 この住人の住居は風車からわずか350mの距離にある。筆者の経験では、確かにこの距離では、相当にうるさいはずだ。ただ、設置会社も放置したわけではなく、風車に吸音材を設置し、住人宅の窓に二重サッシを取り付けるなどの防音措置を施したという。それでも、住人は依然として騒音が受忍限度を超えているとして、会社を相手取って一昨年3月に訴訟を起こしていた。

 このような訴訟は、全国多くの風力発電所で起こっている。筆者自身、特に夜間の騒音は気になる方なので、簡単に「気のせい」「基準値以下」と片付けることには反対だ。また、低周波音は、耳には聞こえなくて、悪影響があるという。

 従って、風力発電の普及は必要だが、環境アセスメント、特に騒音問題をおろそかにしてはならない。「温暖化抑制に必要なので住民は我慢を」、ということでは国民の支持は得られない。

 風力発電に対する期待は大きいが、一方で、現状の設置環境を考えると、日本で再エネの主力を担うのは難しいのではないか、との不安もある。再エネからその名前が消えてしまわないように、技術開発などによる騒音問題の早期解決を望みたい。