風力発電促進のために

 日本の風力発電が奮わない理由はいくつかある。第一に風況が良くないこと。

 緯度の高いヨーロッパでは、偏西風の影響が強く、常に西からの風が吹いている。また、アメリカや中国などの大平原では、遮るものがないため、風が安定している。それに対して、中緯度で山がちな日本では、風速や風向きが一定せず効率が悪い。

 逆に、 台風の時には風が強過ぎるので、風車の耐久力を強くする必要があり、コスト増の原因になる。2013年には、3月に京都府太鼓山風力発電所3号機のナセルが落下、4月には三重県で同様の事故があり、9月には北海道の苫前で、風車の主軸が折れ、落下する事故があった。強風に加えて、落雷による破損事故も少なくない。

 しかし、今一番問題になっているのは、環境アセスメントに時間がかかることだ。風力発電施設の大型化に伴い、騒音(低周波音を含む)、景観阻害、バードストライク(鳥の衝突)などの環境問題が生じている。

 そこで、2012年10月から、風力発電が「環境影響評価法」(通称「環境アセスメント法」)の対象事業に追加された。具体的には、出力1万kW以上の設備は「第一種事業」として必ず環境アセスメントを実施することとし、7,500kW~1万kWについては、「第二種事業」として、環境アセスメントを実施するかどうかを個別に判断することとなった。

環境アセスメントの合理化

 この措置により、アセスメントに要する手続期間は最低でも3年、長引けば5年もかかるようになり、さらに、調査のため1億円超の費用が余計にかかるようになった。これが、風力発電停滞の主な原因となっており、事業者等から見直しを求める声が上がっている。

 そこで、2012年11月、経済産業省と環境省は「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等を検討するための連絡会議」における中間報告を公表し、風力発電における環境アセスメントの迅速化の方策を取りまとめ、審査期間を可能な限り短縮し、審査全体の迅速化を図ることとした。

 日本風力発電協会(JWPA)も、2015年12月22日、いくつかの要望を発表している。「要望1」は、環境アセスメントの規模要件の見直しで、第一種事業となる規模要件を、現在の1万kW以上から5万kW以上(第二種事業は3万7,500kW以上)に引き上げること。「要望2」は環境アセス手続きの迅速化で、各地域の実情に合わせ、事業特性及び立地環境特性を踏まえた参考項目の絞り込みを行うこと。

 JWPAでは、環境アセスメントの手続き合理化により、現在、年間約10万~20万kWの導入ペースが、年間60万~90万kW程度まで拡大する見込みとしている。