内部のデザインにも時間を費やした。「冷蔵庫には、さまざまな部品が必要。バッテリーや基盤、断熱材を内部に収めなければなりません。それらの部品を内蔵しながら、できるだけ冷蔵スペースも確保したい。外側だけでなく、内部の設計にも時間がかかりました。悩み抜いた結果、冷蔵スペースを確保するため、ペルチェ素子を用いた冷蔵システムを採用。このシステムはコンプレッサーが不要のため、空間を有効に使えます。350mlの缶を6本収められるサイズが実現できました」。

 商品の開発には、安全性も考慮しなければならない。法令や業界で定めた基準を守るのはもちろん、会社としても消費者に対して最大限の安全を担保する必要がある。「実は今回の開発にあたって、安全基準は当社独自で設定していく必要がありました。前例のない商品ですから、基準が整備されていないんです」。

 階段からの落下を防ぐため、前脚と後脚に段差センサーを取り付けた。階段の前で、R2-D2はぴたりと止まる。頭頂部には緊急停止兼電源ボタンを備えた。小さな子供が飛び乗った際に、即座に停止するようにとの配慮から、荷重センサーも搭載している。本体はステンレス製の骨格とABS樹脂で作られているが、脚部にはエラストマー樹脂という柔らかい素材が用いられている。手足を挟んだとしても、痛みが軽減される。「基準や規制がないのは、逆に大変なんですよ。お客様から『こうした場合は、どうしたらいいのか』などという問い合わせが来たときに、きちんとした答えを持っていなければなりません。『基準通りに作りました』とは言えませんからね」。

伊藤社長が激しくダメ出し

 各パーツの製造を担うのは、選りすぐりのパートナー企業たち。山本氏は、「いずれも、その道のプロフェッショナルといえる企業ばかりです。塗装は伊藤が“塗料業界のフェラーリ”と呼ぶ武蔵塗料に委託しました。映画に登場するオリジナルのR2-D2と見紛うほどの色と質感が表現できたと思います」。

 それもそのはず、商品の仕上がり具合をチェックするのは、ほかならぬ伊藤社長本人。大のスター・ウォーズファンである社長が見るということは、商品を買ってもらおうとしている顧客に評価されることと同義といえる。

 「開発の要所で、伊藤からチェックが入ります。塗装を施したR2-D2の頭部を5個並べて見せたときは、『ここダメ、ここダメ、ここもダメ…』と、ダメ出しがたくさん入りましたね(苦笑)。でも、そのダメ出しが、的を射ている。例えば、頭部のシルバーの部分。ただ単純にシルバーに塗っただけでは、伊藤には通用しません。『この部分のシルバーは、光沢があるだけではダメ。鈍く光るようにしないと。映り込みは、ぼやけた感じになるんだ。それがR2-D2のメタル感だ』という具合。そんなダメ出しを受けて、再度映画を見ながら、塗装をやり直していきました」(山本氏)

 このプロセスを経たおかげで、ルーカスフィルムからさらなる修正が入ることはなかったという。「当社のトップに超コアなスター・ウォーズファンがいる。そこさえ突破すれば、怖いものはない(笑)。伊藤のチェックは厳しかったですが、頼もしい存在でした」。