大のスター・ウォーズファンであるアクアの伊藤嘉明社長兼CEO。R2-D2型移動式冷蔵庫は伊藤社長が欲しかったから作った商品といえる

 今回の冷蔵庫は伊藤社長が欲しいから作ったものといえる。自宅のソファに座り映画鑑賞を楽しんでいる最中に、R2-D2が飲み物を届けに来てくれる――そんな夢のようなシチュエーションを実現したかったのだ。

 「伊藤はスター・ウォーズの熱狂的なファン。スター・ウォーズ関連商品を開発するのであれば、大好きなキャラクターであるR2-D2の実物大の商品を作りたいと提案されたんです。当初、頭部をロボット掃除機にしてはどうか、頭部にポップコーンメーカーを付けてはどうかなど、いろいろなアイデアがありました。そうしたアイデアを検討した結果、今の形に決まりました」(山本氏)

 嗜好品として買ってもらうことが目的だったため、冷蔵庫としての機能は二の次。実際、350ml缶の飲料が6本入る程度の大きさしかなく、常温のものを冷やすというよりはもともと冷えているものを保冷する用途を想定している。冷蔵庫を主力としているアクアだが、今回の商品に関しては自社工場で一切作っていない。企画・設計に専念しており、従来手掛けてきた家電とは全く異なる商品として位置付けている。

ルーカスは「最高品質」を要求

 大量の食品や飲料を冷やして保存するという実用性よりも趣味性を優先した“前代未聞”の冷蔵庫開発。ルーカスフィルムはどんな反応を示したのだろうか。「冷蔵庫ということに対しては、何も意見や要望は出ませんでした。それよりも、実物大スケールであることに注目されたようです。実物大であれば、ディテールを相当細かく丁寧に仕上げないとあらが目立つ。その点を含めて、『最高品質でお願いします』との言葉をルーカスフィルムから頂きました」(山本氏)。

 2015年6月、R2-D2型移動式冷蔵庫の開発・発売を公表。プロトタイプを制作し、発表会に臨んだところ、予想以上の反響があったという。「日本のメディアにも興味を示していただきましたが、それ以上に海外メディアの反響が凄まじかった。当初の計画では2016年に商品を発売する予定でしたが、反響の大きさを受けて、2015年12月の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開に合わせて発売するよう計画を前倒ししました。通常、このレベルの新商品は開発期間に1年以上を充てます。けれど、今回は約半年しかない。時間がない中での“戦い”が始まりました」。

 設計、デザインはアクアが担当。各パーツの製造は、パートナー企業に委託した。アクアの商品は海外の工場で製造しているものが多いが、R2-D2型移動式冷蔵庫はすべて日本国内で手掛けることに決めた。「最高のクオリティーを実現するためには、オールジャパンで仕上げるのがベストと判断したためです」。

 冷蔵庫の開発はお手の物のアクアだが、自走するキャラクター型冷蔵庫は未経験。開発は難題の連続だった。「R2-D2の全体や主要パーツについてはルーカスフィルムの資料からサイズが分かりますが、ディテールの寸法までは用意がない。例えば、ボディの表面にある溝の深さが何センチあるのかは、ルーカスフィルム側も指示できないのです。そこで、そうした細かな部分は、市販されているフィギュアなどを参考にして、設計図に落し込んでいきました」。