

2015年12月18日に公開され、すでに北米で史上1位の興行収入を記録するなど、世界各国で大ヒット中の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」。映画のヒットとともに、多彩なスター・ウォーズ関連商品が注目を集めているが、なかでもファンの度肝を抜いたアイテムがアクア(旧ハイアール アジア)の「R2-D2型移動式冷蔵庫」だ。
この商品は、スター・ウォーズ・シリーズに登場する有名なドロイド(ロボット)「R2-D2」を等身大で再現。胴体部分に冷蔵庫が内蔵されており、缶やペットボトル飲料を保冷することができる。さらに、冷蔵庫を簡単なリモコン操作により走行させることが可能。R2-D2の効果音や首の動きなども忠実に再現されている。頭部にはレーザーダイオードを光源にしたプロジェクターを搭載。スマートフォン(スマホ)と連携し、スマホの画面を壁などに投影できる。これも映画の1シーンを基にした機能である。映画で見たあの愛くるしい姿を目の当たりにすると、ファンならずとも興奮してくる。
社長が欲しいから作った
走行するキャラクター型冷蔵庫は、日本はもとより、世界でも珍しい。なぜ、こんな夢のような商品が生まれたのだろうか。開発を担当したアクア ニュープロダクツグループ ディレクターの山本陽護氏に話を聞いた。
「R2-D2型移動式冷蔵庫は、当社が掲げる戦略『家電の嗜好品化』を具現化したもの。元気がないといわれる家電業界で、夢のある、わくわくするような商品を作りたかった。そんな思いから誕生した商品です」
日本電機工業会によれば、国内の家電市場は2年連続で減少している。2015年には家電量販最大手のヤマダ電機が不採算店の大量閉鎖を発表するなど厳しい状況が続く。「特に当社の基幹商品のひとつである冷蔵庫は、買い替えのサイクルが8~10年と長いため、急激な売り上げ増は期待しにくい」(山本氏)。
家電メーカーは機能やデザインなどで差別化しようと知恵を絞っているが、圧倒的に優位に立てるほどの決定打はなかなか打ち出せていない。であれば、趣味のモノとして買ってもらえる家電を作ればそうした競争から抜け出し、新しい顧客を開拓できるのではないか。そこで、アクアが目を付けたのがスター・ウォーズだ。2014年11月、ウォルト・ディズニー・ジャパンと提携し、ライセンス商品の企画・開発がスタートした。「スター・ウォーズのキャラクターを用いて、実物大のスケールで今までにない家電を作りたい。そんなアイデアが持ち上がりました。当社の伊藤の発案です」。
山本氏が言う“伊藤”とは、アクア社長兼CEO(最高経営責任者)の伊藤嘉明氏を指す。伊藤氏は日本コカ・コーラ、デル、レノボ米国本社、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントなどの要職を歴任し、2014 年 2 月にハイアールアジア グループのトップに就任。日本と ASEAN(東南アジア諸国連合) の 14 事業会社で強力なリーダーシップを発揮し、2015年12月28日発行の日経ビジネスでも「次代を創る100人」に選出されるなど、現在のビジネスシーンで注目される人物だ。
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