「新発見」(赤丸の部分)を反映し、ディテールにこだわり抜いた。見えにくいコックピット内部まで忠実に再現することがファンの満足度を高める

 ルーカス側にOKをもらい、生産体制が整った後の新たな発見。修正をかけずに発売しても、特に問題はない。仮に修正をかけるとなると、かなりの労力、時間、費用が必要になる。パッケージやカタログ用の写真なども修正しなければいけない。

 「結論として、バンダイはルーカスフィルムに『この新発見を商品に反映させたい』とリクエストを出し、修正する道を選びました。できる限り正しく作ろうとする姿勢を貫くことが、バンダイのポリシー。情熱を持ってやり遂げることは、作り手の喜びであるとともに、『この部分はこうなっていたんだ!』と新たな気づきを提供することができるので、お客様の満足にもつながります」(小木戸氏)

リアリティーと組み立てやすさのせめぎ合い

 ディテールにこだわり抜いた商品作り。それとともに、プラモデルにはもうひとつ欠かせない命題がある。“組み立てやすさ”だ。「ヒットするプラモデルには、共通の要素があります。それが、組み立てやすさ。いかに完成形が素晴らしくても、途中で断念してしまうほど難しい商品はダメ。苦労しながらも喜びを感じて組み立てられ、最後に大きな達成感を得られる。それが理想的なプラモデルだと思います」(小木戸氏)。

 バンダイのプラモデルに対する基本姿勢は、「ニッパーひとつあれば、組み立てられる」こと。ランナー(パーツがついたフレーム)から各パーツをニッパーで切り離し、接着剤を使わずに、パチンパチンとパーツをはめ込むだけで完成に至る。その手軽さがバンダイのプラモデルが人気を集めている理由の一つだ。

 「ただし、この組み立てやすさは、ディテールの再現性と相反しがちなもの。再現性を高めると、パーツが細かくなり、接着剤が必要になってきてしまう。だが、バンダイらしさである接着剤不要の手軽さは守りたい。再現性と組み立てやすさのバランスをどう取るかが、とても難しいんです。新しい商品を開発する時は、常にそのせめぎ合いがあります。そうやって経験を蓄積することでバンダイならではのパーツ作りの技術を完成させました。スター・ウォーズのプラモデルシリーズは、バンダイのプラモデル技術の集大成と言えるものです」(小木戸氏)

 組み立てやすさには色も関わってくる。バンダイのプラモデルはあらかじめパーツごとに色分けされているので、塗装せずにそのまま作るだけでも、キャラクターが持つ雰囲気が伝わってくる。1色だけのプラモデルは味気なく感じるが、多彩な色や素材のパーツが使われていると、格段にカッコよく見える。これを実現しているのが、「多色成型」と呼ぶバンダイ独自の技術だ。これは、ひとつのランナーに、最大4色を使うことが可能な成型方法。つまり、1枚のランナーに、赤、黄、黒、白など、色が異なるパーツを収めることができるのだ。

 「1つのパーツの色分けも可能で、例えば、黒色と灰色の2色から成るパーツを作ることができます。まず金型に黒色の樹脂を流し込んで成型し、完全に冷えて固まる前に、今度は灰色の樹脂を流し込む。温度管理が大変ですが、何度も試作を繰り返し、バンダイ独自の技術として確立しました」。さらにバンダイではこの技術を応用し、素材の質を変えることにも成功。アンテナのような細く折れやすいパーツは、そこだけ柔らかい樹脂を用いて折れにくくするような成型が可能だ。

1枚のランナーに色や素材が異なるパーツを納められる「多色成型」

 「シールにも当社独自の工夫があります。ひとつの商品に、(誰でも簡単に貼れる)普通のシールと水転写フィルムの2種類を封入。水に溶いて貼り付ける水転写フィルムはやや難しいが、仕上がりは美しい。お客様の年齢や経験などにより、使い分けられるようになっています」(福地氏)。こうした技術や工夫によって、ディテールにこだわる根っからのスター・ウォーズファンにも、映画を見たのをきっかけにちょっとプラモデルでも作ってみようかなという気になった人にも満足してもらえる商品を目指している。