バンダイがこだわり抜いて商品化したスター・ウォーズのプラモデル。「ミレニアム・ファルコン」(上)、「ダース・ベイダー」(中左)、「ストーム・トルーパー」(中右)、「BB-8」と「R2-D2」(下)

 その事情とは、同じ1本の映画の中でも、シーンによって異なるモチーフが登場すること。例えば、プラモデルの第1弾として商品化した戦闘機、Xウイング・スターファイター。劇中に爆発するシーンがあるが、上下に爆発する機体もあれば、前後に割れる機体もある。「スター・ウォーズの旧作は、CGではなく、実際に模型を爆発させて撮影していました。そのため、各機体の爆発に変化をつけて見せるためには、模型の構造を変える必要があった。構造が違うと、機体外側のディテールも微妙に変わってくる。ですから、Xウイング・スターファイターには、同じプロップでも複数の種類があるんです」(小木戸氏)。

 複数の種類があるモチーフを商品化する場合、2つの方法が考えられる。いろいろなシーンの“いいとこ取り”をして1つの完成形にする方法と、特定のシーンを選んで完成形にする方法。「悩み抜いた結果、当社では後者を選択しました。その方が、いいとこ取りよりもリアリティーが出ると考えたからです」(同)。

買い集めた資料で会議用のテーブルがいっぱいに

 商品のベースになるシーンが決定した後に待っていたのは、膨大なリサーチ作業。映画に登場する戦闘機を忠実に再現するために、ルーカスフィルムが提供してくれた資料に加え、市販されているガイドブックや雑誌などを買い集めた。

 「スター・ウォーズはコアなファンが多いので、中途半端なものを作るわけにはいかない。既に廃刊になっている書籍も購入。集めた資料は、会議室にある大型のテーブルの上が埋め尽くされてしまうほどの量になりました(笑)。さらに、スター・ウォーズ研究の第一人者である高橋清二さんの力も借りました。高橋さんの持っている情報は、ものすごくマニアック。スター・ウォーズの撮影で使われている模型には、既存のプラモデルのパーツが使用されていることがあり、それがどのプラモデルのパーツであったかという情報もお持ちなんです。その中には、バンダイがかなり前に発売した戦車のプラモデルのパーツが使われていたという情報もあり、驚くとともに、うれしく感じました」(小木戸氏)。

ディテールを忠実に再現するため、ルーカスフィルムが提供してくれた資料のほかに市販の書籍や雑誌など膨大な資料をかき集めた

 万全を期して臨んだリサーチ作業であったが、それでも完璧とはいかない。映画を何度見直しても、映っていない部分がある。ディテールにこだわろうにも限界があるというわけだ。

 AT-STを商品化したときのエピソードを紹介しよう。「ルーカスフィルムのOKを頂き、生産の準備を終えた時、プラモデルの生産拠点である静岡のホビーセンターの担当者から電話が掛かってきて、『見つけちゃったんだよね』と指摘されました。彼が言うには『新しく出た書籍に、AT-STのコックピット内部の画像が出ていて、そこに今まで知られていなかったリングが写っている』とのこと。この新発見を、どうしたものかと…」。